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作成日:2010年3月5日_記事番号:T00021292
「蒸し風呂に2時間半」、高鉄の地震対応に批判
4日午前8時すぎに南部を襲ったマグニチュード(M)6.4の地震で、台湾高速鉄路(高鉄)は上り110号が南部科学工業園区(南科)付近で脱線事故を起こした。高鉄で地震によるトラブルが起きたのも、脱線事故も開通以来初めてで、乗客からは高鉄のトラブル対応の遅さに不満や批判の声が続出した。
地震発生当時、時速270キロで走行中だった110号は、車体が左右に激しく揺れ、急ブレーキをかけたため先頭車両の先端部が脱線。すんでのところで左側のコンクリート壁にぶつかるところだった。
乗客は「列車が飛び出すのかと思った」、「まるでジェットコースターに乗っているようで、心臓が止まりそうだった」、「もう終わりだと思った」などと恐怖の体験を語っている。
365人の乗客はエアコンの効かない息苦しい車内に閉じ込められたが、事故から30分たってようやくドアが1カ所開けられた。下車できたのは、車内で2時間半も蒸し風呂状態に置かれた後のことで、高架の線路沿いに約300メートル歩き、3キロごとに設置されている緊急避難ホールからはしごを使って地上に下りた。
このほかに上り410号、下り105号と403号は台南県内近くで、上り408号と下り405号は雲林県内でそれぞれ停車。乗客はいずれも線路沿いに歩き、避難用はしごで地上へ。これら6列車の停車により影響を受けた乗客は2,300人以上に上った。幸い負傷者はなかったが、5人が体の不調を訴え、そのうち4人が病院に運ばれた。
最終的に乗客全員の避難が無事完了したのは、午後12時40分頃。4時間以上もかかったことについて交通部高速鉄路工程局の朱旭高鉄局長は「もっと短縮できるはずだ」とコメントしている。
フェイルセーフのシステムもしっかり働いたもようで、台湾が地震を視野に入れて日本の新幹線技術を採用したことは正解だったと思えるが、具体的なトラブル対処法など高鉄にはまだまだ課題が多いようだ。