「死刑は当面、執行を停止すべき」という声明を発表し、犯罪被害者の家族や政界、法曹界などから強い批判を受けていた王清峰法務部長は11日午後10時、呉敦義行政院長に口頭で辞意を伝え、了承された。王法務部長は同日午前にはメディアに対し、「この件で辞任すれば世界の笑い者になる」と職務続行の意思を見せていたが、馬英九総統や呉行政院長ら政権最高層の支持を得られず、不本意ながら辞任を決意したもようだ。同日12日付自由時報が報じた。
各テレビ局の世論調査では、王法務部長支持の割合は1割にも満たないという(11日=中央社)
同日午後、王法務部長は馬総統と会い、自身の考えを説明したが賛同を得られず、総統府は夕方、「わが国は法治国家であり、既に確定している死刑の執行を停止するには法的な根拠が必要。法務部は適切な対応をすべき」と、王法務部長の声明に反する見解を発表した。
これにより法務部長の辞任は確定したかに見えたが、その後8時ごろ、王法務部長は呉陳鐶常務次長に記者会見を開かせ、「辞職するつもりはなく、死刑執行命令書にサインするつもりもない」という自身の考えを表明した。
自由時報は、午後8時から10時の間にどのようなやり取りがあったのかは分からないとしているが、世論が王法務部長の側にないとみた総統府、行政府が強力な圧力を掛けたことが推測される。