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作成日:2010年3月17日_記事番号:T00021525
「子ども欲しくなる」スローガン募集、評判は散々
内政部は15日、深刻化する少子化に歯止めをかけようと、「聞けば子どもが欲しくなるスローガン」を募集すると発表した。採用された場合、賞金100万台湾元を出すというから政府の力の入れようがうかがえる。というのも、台湾の直近2009年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に生む子どもの数)は1.0と全世界で最低レベル。このままでは将来、労働人口不足などさまざまな社会問題が懸念されているためだ。
ところが、この出生率アップのためのスローガン募集は、概して評判がよろしくない。民進党立法委員は、「粉ミルクから学費まで何でも値上がりしているご時世に、誰がスローガンを聞いただけで子どもを生むもうと思うか」「スローガンで子どもを生ませようなんて、台湾人をばかにしている」などと批判。国民党議員からも「短い文句で出産を奨励できるならノーベル賞もの」と揶揄(やゆ)される始末だ。
衛生署国民健康局会の調査によれば、台湾人が子どもを持たない主な要因は、「経済的に育てられない」こと。景気低迷による失業率の悪化や所得減少などが原因で、子どもを生む意欲が低下しているという。
大卒でも初任給が手取り1万8,000元ほどと給与水準は下がる一方で、就職難から正社員の仕事に就けず、アルバイトで生活している若年層も多い。共働き家庭でも「経済的に余裕がなく子どもを養えない」というケースが多いのは納得できる。
政府は幼児教育券や医療、託児補助など育児環境への支援策も打ち出しているが、一時的あるいは短期的な給付にすぎないため、誘因としての魅力に欠けているのが実態らしい。
今回のスローガン募集も、話題作りにはなるが問題の根本的な解決には程遠い。政府は台湾版「子ども手当」の導入も検討中だが、出生率の向上はそう簡単なことではなさそうだ。