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中国金融機関、台湾進出を開放


ニュース 金融 作成日:2010年3月17日_記事番号:T00021553

中国金融機関、台湾進出を開放

 
 今年1月に発効した中台間の金融監督に関する覚書(MOU)の実施細則に当たる「金融業務往来及投資許可弁法」が16日、行政院金融監督管理委員会(金管会)によって公布・施行された。これにより、中台間で銀行、証券、保険業の投資が法的に開放された。台湾は海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)締結を通じて、台湾金融機関による中国支店の開設や中国業者への出資の際の条件緩和を期待しており、今回の許可弁法施行は、中国金融機関の受け入れ態勢を整えることでECFA交渉の下地とすることが狙いだ。中国金融機関が実際に台湾進出の認可を受けるのはECFA締結後となる。17日付経済日報などが報じた。
 
T000215531

  
 「許可弁法」では、中国金融機関の進出によって台湾金融市場が大きな影響を受けないよう、中国の銀行が台湾事務所を設置をする上で、▽世界1,000位以内の資産規模▽経済協力開発機構(OECD)加盟国で2年以上の業務実績を持つ▽重大な違法行為がない──という条件を設けた。これに合致するのは▽中国銀行▽中国工商銀行▽中国建設銀行▽交通銀行▽招商銀行──の5行となる。

 中国の銀行が台湾支店を設置できるのは事務所開設から2年後となるが、支店設置条件はさらに厳しく、▽世界200位以内の資産規模▽OECD加盟国で5年以上の業務実績を持つ▽最近5年内に重大な違法行為がない──となっている。

 さらに支店設置と二者択一となる台湾の銀行への出資については、単一銀行で台湾域内銀行または金融持ち株会社1社に対し5%まで出資可能、かつ中国の適格国内機構投資家(QDII)の出資と合わせて10%を超えない範囲と規定された。域内銀行への出資も、申請を認可するのはECFA締結後となる。

 なお、中国の証券業者、保険業者は台湾での支店開設、台湾業者への出資が即日開放された。

来週にも申請受け付け
 
 台湾の銀行の中国支店・子会社設置、中国の銀行への出資(資産の15%が上限)なども法的に可能となった。金管会が立法院財政委員会で報告を行った後、来週にも投資許可の申請受付が始まる見通しだ。

 金管会は「許可弁法」の制定に当たり、「慎重かつ段階的に」「監督・管理措置を合わせて実施」を原則としており、域内銀行による中国での支店または子会社設置は、海外の子会社または域内親銀行を通じてのいずれかに制限され、中国の銀行への出資も、金融持ち株会社または傘下の銀行のいずれを通じて行うかを選択しなければならない。

 さらに支店、子会社、地場銀行への出資のうち選択できるのは2つまでで、支店、子会社を同時に設置した場合、出資を行うことはできない。

 富邦金融控股は現在、香港子会社の富邦銀行(香港)を通じて福建省のアモイ市商業銀行に出資しており、今後、中国での支店開設や出資を行う場合、アモイ市商銀の持ち株を富邦金融控股か台北富邦銀行に移さない場合、香港子会社を通じてのみ可能となる。

進出・出資条件緩和に期待
 
 「許可弁法」に基づくと、中国での支店設置および出資条件を満たすのは計13行となるが、現在中国では支店への昇格条件として事務所開設2年後との規定があり、現在この条件を満たすのは▽台湾土地銀行▽合作金庫銀行▽華南銀行▽第一商業銀行▽彰化銀行▽国泰世華銀行▽中国信託商業銀行(CTB)──の7行に限られる。このため、その他の銀行は、ECFA締結により、支店設置までの時間的条件の撤廃や現地銀行への出資上限20%の緩和に期待しているようだ。
  
【表】