最近の台北市都市部の不動産価格高騰に対し26日、賃貸住宅での生活を余儀なくされている市民による抗議デモが行われた。1989年8月、当時の地価高騰に対し約1万人が忠孝東路で徹夜の抗議デモを行い社会現象になった「無殻蝸牛(からの無いカタツムリ)聯盟」が復活し、「不動産価格を引き下げる政策措置が採られないならば、年末に再び忠孝東路に繰り出す」と気勢を挙げた。27日付聯合報が報じた。
抗議デモには89年当時の運動で使われた「からの無いカタツムリ」オブジェも再登場した(26日=中央社)
今回のデモは、今年1月に1坪679万8,000台湾元(約1,973万円)の過去最高値で落札された仁愛路二段と臨沂街の交差点の国有地前を選んで行われた。
89年の抗議デモの発起人で、今回も参加した焼きギョウザ(鍋貼)チェーン、四海遊龍集団の李幸長董事長は、「一生かけても都市部に住宅を買えないところに現在の若者の不幸がある。住宅問題のために生活水準を下げざるを得ない」と指摘した上で、土地投機で不労所得を挙げている大型企業を野放しにしているとして与党・国民党と野党・民進党をともに批判した。
デモに声援を送った市民からは、「不動産会社は交通の利便性をうたい文句にバスの停留所や都市交通システム(MRT)駅付近の住宅価格をつり上げているが、購入できる金持ちはバスやMRTを使うことはなく、公共交通機関の利用者を二重に苦しめている」などの批判の声が聞かれた。