5大都市圏(台北市、台北県、桃園県市、台中県市、高雄県市)の昨年第4四半期の住宅価格が年収の7.08倍に上り、国際的に「支払いが非常に困難」と定義される5.1倍を大きく超え、日米など主要国を上回っていることが内政部の最新統計で分かった。台北市にいたっては年収倍率9.06倍と極めて高水準にある。専門家は、住宅取得による負担が重すぎると、生活費や教育費が圧迫され、合計特殊出生率(女性1人が生涯に生む子どもの数を示す指標)低迷につながり、ひいては台湾の国際競争力にも影響を与えると警告した。29日付蘋果日報が報じた。
内政部が発表した「2009年下半期住宅需要動向」によると、5大都市圏の住宅取得の年収倍率は08年第4四半期に7.1倍まで上昇し、世界金融危機が発生した影響で昨年上半期に6.65倍へ下がったものの、下半期には住宅価格が急騰して反発上昇した。台北市でも08年第4四半期の10.2倍が、昨年上半期に8.89倍まで下がっていたものの、再び上昇に転じた。
世界の主要国の住宅取得の年収倍率は、▽豪州、6.8倍▽日本、5.3倍▽英国、5.1倍▽カナダ、3.7倍▽米国、2.9倍──で、台湾の数値の高さが際立っている。
国立屏東商業技術学院の不動産経営系、楊宗憲・助理教授によると、国際社会では住宅価格に対する支払い負担を調べるために、住宅価格の中間値を世帯所得の中間値で割る方法が採られることが多く、通常、年収倍率3.1倍以下が「無理なく支払い可能」、3.1~5倍が「支払い可能、または支払いが若干負担」、5.1倍以上が「支払いが非常に困難」と定義されているという。
不動産市場の専門家として知られる張金鶚政治大学地政系教授は、国際的に年収100万台湾元(約290万円)の人が510万元以上の住宅を購入するのは困難とされているのに、台北市では同収入で906万元の住宅を購入することになると説明し、住宅価格と所得水準の不均衡を訴えた。直近半年間に購入された住宅価格と購入者の世帯年収を調査したところ、年収倍率は6~10倍で、加重平均しても8倍に上ったという。
ローン返済、所得の3割以上
住宅価格の高騰で当然、購入者のローン返済負担も高まっている。かつて国立台湾大学建築・城郷研究所で教授を務めた華昌宜氏は、毎月のローン返済額が所得に占める割合を示す返済負担率が、昨年下半期に台北市で住宅を購入した人の場合で36.12%に上り、米国の不動産仲介協会が定める適正水準25%を大きく上回ると指摘。政府が適切な政策を打たなければ、住宅問題にとどまらず、台湾の国際社会での生き残りに関わると警笛を鳴らした。
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