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作成日:2010年3月31日_記事番号:T00021818
「中台関係改善には限界」=防衛研究所報告書
日本の防衛省のシンクタンク、防衛研究所は29日発表した年次報告書「東アジア戦略概観」2010年版で、中台関係について、「馬英九政権の登場後、関係改善が積極的に進んでいるものの、安全保障上の対話や平和協定の締結といったレベルまで達するかは定かではない」として、現段階で関係改善には限界があるとの見解を明らかにした。
安全保障面では、馬総統が中台間での平和協定締結の前提条件として、中国が台湾に向けて大量配備している弾道ミサイルの撤去を求めたものの、中国は国慶節(建国記念日)の軍事パレードに台湾を射程に収める弾道ミサイル「東風15」「東風11」を登場させたように、台湾に対する軍事的圧力を緩和する動きは見られないと指摘した。
また、平和協定にしても、中国にとって承認していない中華民国政府を相手に締結する選択肢は存在せず、台湾にとっても一政党にすぎない国民党が中国共産党と締結することはあり得ないとした。
同報告書はさらに、2012年の次期総統選挙で馬総統の再選の可能性について、「中国との関係改善が台湾経済の浮揚に結び付いた実績を示すだけでなく、中国に対する主体性の確保や安全保障の強化を求める民意に応えなければ危うくなる」との見方も示した。