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作成日:2010年4月12日_記事番号:T00022024
タクシー運転手とトラブル、日本人男性が瀕死の重傷

台中県太平市に住む日本人男性、南部忠司さん(66)は9日午後9時頃、帰宅するため台中市内でタクシーを拾った。南部さんは「中興路」と自宅のある地名を告げたが、ドライバーは、自宅を通過。遠回りをされると思った南部さんは、慌てて「ストップ、ストップ!」と大声で叫び、ドライバーの頭部をパシッとたたいた。
乗客から頭をたたかれ、ドライバーはプッツン。太平路の921地震公園に到着すると、南部さんを降ろし、続いて自分も下車して、南部さんを小型の野球バットで散々殴り立ち去った。南部さんは起き上がろうとしたが力尽き、血を流したまま倒れてしまった。
ちょうどその時、現場から約100メートル離れた場所で屋台を出していた林さんがこれを目撃、すぐ警察に通報した。南部さんは病院に運ばれたものの、右手は骨折し、左目は紫色に大きく腫れ上がった瀕死状態。脳出血を起こしており、一時は生命も危ぶまれた。
警察によると、南部さんに暴行したドライバーは林万福容疑者(47)。「中興路」を通過したのは「光興路」と聞き間違えたせいで、南部さんにげんこつで頭と肩を殴られたと供述している。また、南部さんは下車する際にタクシーのウェザーガードを引っ張り壊したとか。林容疑者は小型バットを使ったことは否定しており、自身も肘や指を負傷していることから、南部さんを訴えるという。
南部さんの妻、陳淑恵さん(66)によると、「夫の中国語は流暢ではないけれど、通りの名前を言い間違えるはずはない。もし親切な人が通報してくれていなかったら、夫は道端で死んでいたかも」と涙ぐんだ。
日本で玩具包装工場を経営していた南部さんは20数年前、友人の紹介で陳さんと知り合い結婚。3年前に故郷を恋しがる妻のため、事業を前妻との間にもうけた息子に譲り台湾に定住した。南部さんは4月10日が誕生日で、事件が起きた9日夜は友人に祝ってもらった帰りだった。
南部さんの発音が悪かったのか、あるいはドライバーの悪意か?いずれにせよ命にかかわるほど殴りつけるのはやりすぎだ。警察などでは、外国人がタクシーを利用する場合は、言葉の問題でトラブルを避けるため、目的地を紙に書いてドライバーに渡すのが無難だと提言している。