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車優先の交通慣習、元南ア大使も大けが


ニュース 社会 作成日:2010年4月20日_記事番号:T00022201

車優先の交通慣習、元南ア大使も大けが

 
 シンガポール大手紙、「ザ・ストレーツ・タイムズ」で19日、台湾に関する投稿が掲載された。その内容は「台湾の商店はサービスがよく、市民も礼儀正しい」としつつも「しかし」と続き、「自動車の運転マナーには改善が必要だ」と指摘したものだ。

 実際台湾では、交差点で横断歩道を渡る歩行者を一時停止して待つ車はほとんど無い。車の方が止まってくれるだろうと、日本と同じ感覚で渡ると命がいくつあっても足りない。

 最もよく聞く交通標語は「道路は危険な場所なので、歩行者は注意しなければいけない」という意味の、「馬路如虎口、行人小心走」というくらいだ。

 昨年09年1~11月の統計によると、ドライバーが歩行者を優先しなかったために発生した事故は984件と、前年比で30%も増加しており、「車優先」の風潮はより強まっているようだ。

 そんな中、高齢86歳の陸以正・元駐南アフリカ大使が今月上旬、台北市内の横断歩道で一時停車せずに突っ込んきたタクシーに接触し、右肩を骨折(全治3カ月)して入院する事故に遭った。

 この知らせを聞くや、すぐに陸氏を見舞った郝龍斌台北市長は、横断歩道での交通マナーを重視することをアピール。歩行者優先を守らない車両の取り締まりを強化する考えを表明した。

 そもそも交通規則では、車やバイクが横断歩道で歩行者を優先させずに通行した場合(歩行者の進行方向から約3メートル以内の距離に入った場合、および車体の前部が横断歩道にさしかかった場合を基準に判断する)は、1,200~3,600元の罰金が科されるとなっている。

 にもかかわらず、歩行者優先が徹底されていないのは、ドライバーへの交通マナー教育の不足が原因だ。「台湾はこれまでずっと車優先社会。歩行者優先の考えを浸透させるには時間がかかる。政府が『歩行者優先運動』を推進する必要がある」とは、同市交通局長の弁。

 ドライバーも運転しない時は歩行者になるのだから、「車が一番偉い」的な考えは改めるべきだろう。政府の積極的な呼び掛けと取り締まりで、台湾が歩行者優先社会に変わることを期待したい。