中台間で交渉中の海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)について、呉敦義行政院長は4日、6月中旬に締結するとの見通しを明らかにした。焦点となっているアーリーハーベスト(関税の早期引き下げ)対象品目、および協議文書を5月末の台湾での交渉で確定し、第5回民間トップ会談(江陳会)で締結、6月末に立法院で承認を得るというスケジュール設定だ。5日付工商時報などが報じた。
国民党幹部によると、ECFAの第3回交渉は来週北京で行われる。黄志鵬・経済部国際貿易局長、杜紫軍・経済部工業局長、桂先農・行政院金融監督管理委員会(金管会)銀行局長らが参加し、台湾金融機関の中国投資おける優遇条件や、中国の銀行による台湾の銀行への出資条件、実施時期などを協議する。残る正式交渉は5月末と合わせてわずか2回だが、非公式の意見交換を通じて補足する方針だ。
アーリーハーベストの対象品目について呉行政院長は、未確定のため公表できないと語った。国民党幹部によると、台湾側は▽石油化学の川中・川下▽機械▽紡織の川中・川上──3産業を加えるよう求めたが、中国側は、すべて盛り込むことには難色を示しているという。小規模で必要性が高く、中台双方の利益になるとの原則の下、台湾の対象品目は500項目以下、中国はこれより少なくなる見通しだ。
住民投票、実施手続に前進
一方、民進党や台湾団結聯盟(台聯)など台湾本土派は、ECFA締結によって台湾産業界が打撃を受け、また、中国の台湾統一戦略に利用されるとの危機感から反対の声を強めている。
黄昆輝・台聯主席により提出された、ECFA締結の是非を問う住民投票実施を求める提案書が4日、中央選挙委員会(中選会)の審査を通過した。中選会によると、署名は10万9,720人分で、住民投票法が規定する直近の総統選挙の有権者数の1,000分の5に当たる8万6,608人を上回った。今後、行政院住民投票審議委員会で住民投票法の規定に合致していると判断された場合、86万6,082人以上の署名が集まれば提案は成立し、中選会によって住民投票が実施される。
前回総統選で民進党公認候補だった謝長廷・元同党主席らによって設立されたECFA住民投票行動聯盟は5日、彰化県北斗鎮を皮切りに、15回にわたりECFA反対イベントを繰り広げる。馬英九政権発足2周年に当たる5月20日にも街頭デモを予定しているほか、6月下旬には100万人規模の反対デモも計画している。
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