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高鉄運転士が走行中に爆睡、恐怖の13分間


ニュース 社会 作成日:2010年5月10日_記事番号:T00022611

高鉄運転士が走行中に爆睡、恐怖の13分間

 
 毎日延べ10万人が利用する台湾高速鉄路(高鉄)で走行中に運転士が爆睡し、約13分間もの間、無人運転になるという信じ難い不祥事が発生していたことが分かった。

 このトラブルは、4月24日午後4時30分高雄・左営発台北行きの列車で発生。午後5時ごろ、列車が時速298キロで雲林県を走行中、突然運転室で警報が鳴った。

 この警報は1分以上、まったく運転操作が行われなかった場合に鳴り、運転士に注意を促すものだ。この時、運転士は警告音に気付き、即座にこれを解除。ところが約1分後、再びコントロールセンターに警告信号が届いたため、要請を受けた女性列車長が運転室に駆け付けたところ、なんと運転士は爆睡中。起こしても意識が朦朧(もうろう)としており、とても運転できる状態ではなかった。

 このため、運行は直ちに自動制御システムに切り替えられ、5時13分無事に台中駅に停車。運転士を交替させ、4分遅れで台中駅を発車した。

 台湾高速鉄路公司(台湾高鉄)によると、自動運転中は列車長が運転室で監督に当たり、コントロールセンターと連絡を取っていたというが、無人運転の状態は雲林~台中間の約40キロ、約13分間にも及んだ。

 調べによると、問題の運転士(30歳前後)は2008年2月に入社し、09年3月末に運転士免許を取得。睡眠障害を患っていたが病院には行かず、友人からもらった出所不明の睡眠薬を2カ月余り服用していたらしい。

 運転士は当日の午前中にもこの薬を服用。しかし午後3時30分に行われた勤務前の身体検査はパス、コントロールセンターとの通話も正常だったとか。

 この運転士は5月3日に解雇処分となったが、高鉄の運転士育成には8カ月以上の時間がかかることから、運転歴わずか1年余りの新人の解雇は、コスト面からも大きな痛手だ。同社では目下抱える116人の運転士に対し、毎年1回の健康診断を義務付けているほか、全体の25%に対して抜き打ちの健康診断を実施しているが、今後はこの比率を40%に引き上げ、管理を強化する方針だ。

 今回のトラブル、大きな事故に至らなかったことは不幸中の幸いだが、「無事に台中駅に停止でき、自動制御システムの安全性が実証された」という賈先徳台湾高鉄副総のコメントは、的外れの自画自賛ではないだろうか。