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作成日:2010年5月12日_記事番号:T00022669
台湾視察中の中国役人、万引き現行犯で逮捕

視察と企業誘致を目的に台湾を訪れていた中国泉州市の役人が、新竹市内のコンビニで万引きし、現行犯で逮捕されていたことが分かった。万引きしたのは化粧品のBBクリームで、わずか198台湾元だった。
台湾で逮捕された初の中国役人となったこの不名誉な人物は、福建省泉州市豊沢区台港澳僑聯誼弁公室主任の倪子川氏(53歳)。倪主任を含む豊沢区代表団一行は、3日から11日の予定で台湾を訪問していた。
7日午前、宿泊先ホテル近くにあるコンビニを訪れた倪主任は、1本99元のBBクリームを2本ポケットに入れたまま精算せずに店を出たところ、コンビニ店長が気付いて倪主任を捕まえ警察に通報。あっけなく窃盗容疑で現行犯逮捕された。
倪主任を取り調べた警察は、明かされた身分を聞いてビックリ。半信半疑のままインターネットで身元を確認したところ、間違いなく中国の地方役人であることが判明した。
取り調べで倪主任は「本当にばかなことをした、申し訳ない」と何度も謝罪。30年以上の公務員歴を持ち、月給4,000人民元と暮らし向きは豊かなはずの主任が、なぜわずか200台湾元足らずの万引きを働いたのか?
倪主任は、地元で販売されていないBBクリームを見つけ、妻に買って帰ろうと手に取り、携帯電話で話しながら歩いているうちに支払いを忘れて店を出てしまったと説明している。
検察官は、微罪であることやコンビニと和解が成立していることなどから、倪主任を不起訴処分として釈放した。
しかしこれに対し、民進党の蔡煌瑯立法委員は、「窃盗罪を犯せば起訴されるはず、なぜ中国人だけが例外なのか?」と批判。今回の無罪放免は、政府の上層部による関与があったのではないかと疑問を呈した。
一方、新竹地検は「微罪の場合、犯行状況や犯人の態度などを考慮し、検察官の裁量で不起訴処分とできる。国籍とは無関係」と反論している。
なお、倪主任らは11日に帰国の予定だったが、事態の深刻化を心配した中国当局が急きょ帰国させることを決定。一行は8日正午ごろ、海路で金門から泉州へ戻ったという。中国で倪主任にどのような処分が待っているのかは知る由もない。