馬英九政権が発足2年を迎え、海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)締結後の新たな局面での経済発展を視野に、経済・財政閣僚を対象とした内閣改造を行う。呉敦義行政院長は13日、第一次人事案として、陳冲・行政院金融監督管理委員会(金管会)主任委員(61)の行政院副院長昇任、金管会主委の後任に陳裕璋・第一金融控股董事長(55)の就任を発表した。14日付経済日報などが報じた。
陳冲氏は金融・財政の専門家としての評価が高い。今月初め「低金利は台湾が抱える最大の市場リスク」と発言し注目された。低金利政策の下で長期経済低迷が導かれた日本のケースが念頭にあったと分析されている(13日=中央社)
内閣改造は、直接的には朱立倫・行政院副院長が11月の新北市長選挙への立候補のため離任することに伴うもの。朱副院長は13日に辞任を申し出、呉行政院長に受理された。陳冲氏は17日に就任する。
馬総統は4月下旬に行われたECFAをめぐる蔡英文・民進党主席との公開討論で、ECFAを契機に台湾に「黄金の10年」をもたらすとの考えを述べている。馬総統は13日、今回の内閣改造は、金融危機の影響から抜け出して「黄金の10年」をスタートするに当たって重要な意義を持ち、展望力や実行力で人材を選んだと説明した。
なお、来週には第2次人事案が発表され、経済日報によると、行政院経済建設委員会(経建会)主委の有力候補に経済学者の劉憶如氏が挙がっているほか、現金管会副主委の 李紀珠氏が台湾金融控股董事長または台湾銀行董事長に転任し、中華民国銀行商業同業公会(銀行公会)理事長も兼任する観測となっている。また、工商時報によると、李述徳財政部長が政務委員に転任する可能性があるようだ。
金融市場の規模拡大に注力
陳冲氏は行政院副院長就任に当たっての経済日報とのインタビューに対し、「呉行政院長の政策決定に協力して、経済発展を推進していく」との抱負を語った。
台湾の今後の経済発展では、サービス業、公共建設、教育などを含む非貿易財が重要で、同分野を成長させてこそ人材・マネーが台湾にとどまるとの考えを示し、政策的支援を行っていく考えを示した。
また、同日の記者会見では、金融分野で取引コストが高くなり過ぎないことが望ましいという発言を行っており、新たに就任する経済閣僚チームが台湾金融市場の規模拡大に注力するのではないかとの観測も出ている。
台北市長時代の側近
金管会主委に就任する陳裕璋氏は、馬総統が台北市長を務めた1998年から2006年までの8年間の大部分を、財政金融担当の副市長や秘書長を務めた側近の部下で、就任後は金融機関進出の中国進出での有利な条件獲得に向けた交渉や、金融機関に対する新たな監督制度の確立などが取り組むべき課題として挙げられている。