馬英九総統は16日、信号機など交通標識の発光ダイオード(LED)への転換が今年中に完了した後、来年から台湾全土130万本の街灯についてもLEDへの移行に着手すると宣言した。政策的後押しによりLED照明は普及が早まることが予想され、業界では商機を100億台湾元(約291億円)以上と見積もっている。また、現在既に深刻な状況にあるLEDチップの供給不足が、来年まで継続するとの見方も出ている。17日付経済日報が報じた。
デルタを視察した馬総統(中右)は、「省エネ産業の先駆者だ」と賞賛した(16日=中央社)
なお、LED街灯への切り替えにより恩恵を受ける企業としては、LEDエピタキシャルウエハー・チップ最大手の晶元光電(エピスター)、LEDパッケージング(封止)最大手の億光電子(エバーライト・エレクトロニクス)、光宝科技(ライトン・テクノロジー)、台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)などの名前が挙がっている。
IT偏重脱却へ構造改革
馬総統はまた、「グリーンエコノミー(環境に優しい経済)」は政府の重要な理念であり、省エネ・二酸化炭素(CO2)削減は「避けて通れない道だ」と語り、今後はグリーンエネルギー産業を強く推進しIT(情報技術)産業に依存し過ぎないよう、産業構造の変革を進める考えを強調した。
経済部が取り組む、▽太陽エネルギー▽LED照明▽風力発電▽水素燃料電池▽バイオ燃料▽エネルギー情報通信(EITC)▽電気自動車──の7産業を含むグリーンエネルギー産業育成プランではLED産業が最も成果を挙げており、馬総統は同日、「台湾のLED産業は、生産量で世界1位、生産額で世界2位、シェアも昨年16%から25%まで拡大し日本に次いで2位となった」と強調した。
台湾は太陽電池の生産額も世界3位、風力発電でも既に2メガワット(MW)の発電機を完成させており、大型風力発電機製造では世界8位となっている。
その上で馬総統は、企業の研究開発(R&D)を促進、生産設備への補助、さらに台湾域内市場や海外への販売拡大を支援し、台湾のグリーンエネルギー産業を日本やドイツと肩を並べられる産業にしたいとの考えを示した。
デルタ、グリーンエネに200億
同日、馬総統の視察を受けたデルタは、桃園、新竹科学工業園区(竹科)竹南基地、南部科学工業園区(南科)で電気自動車、電子ペーパー、太陽電池、LEDなど省エネ関連製品の生産能力増強に200億元を投じる計画を表明した。
内訳は電気自動車の研究開発拠点である桃園工場に20億元、傘下の太陽電池メーカー、旺能光電(デルソーラー)の竹科・竹南園区新工場の拡充に3年間で92億6,000万元、南科第2工場のクラウドコンピューティング関連事業に15億元、さらに設備調達額が加わる予定だ。