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作成日:2010年5月19日_記事番号:T00022818
映画『艋舺』出演のヤクザ、飲酒死亡事故で本性さらす

今月12日、台中市内で発生した飲酒運転による死亡事故の加害者が、今年大ヒットした台湾映画『艋舺(MONGA)』(鈕承沢監督)に出演していたことが、ネットユーザーによる「人肉捜索(個人情報の特定)」で発覚した。
『艋舺』は、1980年代の艋舺(台北市万華地区一帯の旧称)を舞台に展開する地元の若者とヤクザの物語を描いた作品。多数の「本物」のヤクザが、エキストラとして動員されている。
この人身事故を引き起こしたのは、薬物所持の前科を持つヤクザ、彭偉明容疑者(25)。今月12日、台中市内で自転車に乗っていた黄恵卿さん(56)をベンツではねて即死させた上、さらに現場に駆け付けた友人の張惟勛容疑者(27)が、警察の封鎖を突破して黄さんの遺体をもう一度車でひいていた。
死者への冒涜(ぼうとく)とも取れるこの度を越した悪質な行為が、社会の怒りを買ったのはいうまでもない。ネットユーザーが早速「人肉捜索」を展開し、『艋舺』の宣伝ポスターに写っている彭容疑者を割り出した。
彭容疑者自身は、映画出演を否定しているが、ポスターには、上半身に刺青をした彭容疑者が、主演の若手スター・阮経天と趙又廷の後方、ちょうど二人の中間という目立つ位置にはっきりと写っており、被害者の黄さんの恋人も「彭容疑者に間違いない」と確認している。
『艋舺』で主人公は「理屈が何だ、義侠心こそすべてだ」という決めゼリフを吐くが、義理も人情もない悪質な事件にネットユーザーからは「もともと義侠心の意味を間違えていたんじゃないのか」との声も。
折しも18日、『艋舺』の中での大規模な決闘シーンで、エキストラとして動員されていた万華一帯を地盤とする暴力団「頭北厝」の構成員14人が逮捕された。
「頭北厝」は、主としてコイン式のカラオケ機械を強制的に貸し付け、3カ月ごとに1万8,000台湾元の「版権」を徴収するなどの不法行為で暴利を得ていたという。義侠心に厚いヤクザは、映画の中だけでの話というのが実態のようだ。