野党民進党の蔡英文主席が11月に行われる5直轄市長選挙で、新北市(現台北県)に立候補することを決めた。新北市長選には国民党の次世代ホープ、朱立倫・前行政院副院長が立候補を決めており、相次ぐ立法委員補選を勝利に導き党勢立て直しで評価を高めた蔡主席との一騎打ちは、2012年の次期総統選挙の前哨戦としても注目される。
現時点で、高雄市と台南市は民進党、台北市と台中市は国民党に有利とみられている(中央社)
新北市は国民党支持者の人口比率が高いものの、民進党は1989年以降4回連続で台北県長選を制しており、今回も激戦が予想される。当初出馬に乗り気でなかったとされる蔡主席の立候補の背景には、直轄市長選全体で民進党の士気を高め、12年の総統選での政権奪回につなげたい意図があるとみられる。
ただ、蔡主席は次期総統選で同党の総統または副総統の有力候補の1人で、新北市選で勝利した場合、総統選への立候補が困難になるジレンマがある。朱立倫氏はさっそく、「新北市に必要なのは市民のための市長であり、総統選への踏み台にしようという市長ではない」とけん制球を投じた。
民進党は23日、直轄市長選の各市の公認候補を発表した。新北市以外の4市は、▽台北市、蘇貞昌氏(同党元主席)▽台中市、蘇嘉全氏(同党秘書長)▽台南市、頼清徳氏(立法委員)▽高雄市、陳菊氏(現職)──となった。