サムスン電子が先週発表した18兆ウォン(約1兆3,600億円)規模の大型設備投資計画に対抗すべく、台塑集団(台湾プラスチックグループ)は傘下のDRAMメーカー、南亜科技と華亜科技(イノテラ・メモリーズ)で、今年下半期に42ナノメートル製造プロセス製品の量産を2カ月前倒しする。これにより、今年の設備投資額は約1,000億台湾元(約2,800億円)まで拡大すると見込まれる。24日付電子時報がメモリー業界関係者の話として伝えた。
台プラグループの王文淵総裁は20日、サムスンの投資計画について「衝撃は非常に大きい」と発言している。王総裁によると、サムスンが来年下半期にDRAM生産に導入を計画している35ナノプロセスは、現在台湾メーカーで主流となっている60~65ナノに比べ、ウエハー1枚当たりの産出量が1.75倍となる。このため王総裁は、「サムスンがコスト競争力を武器に値下げを行った場合、DRAM市況は大幅下落に見舞われる恐れがある」と危機感を募らせた。
42ナノ導入の2カ月前倒しは、DRAMで台プラグループと提携関係にある米マイクロン・テクノロジーの方針に基づくものだ。サムスンのDRAMは6月末段階ですべて46ナノに移行するとの観測が出ており、エルピーダメモリも42ナノ導入も予定よりも早く進めているため、マイクロンも早期キャッチアップが必要と判断した。
イノテラ、「7月に公表」
先日、今年の設備投資額を従来の190億元から220億元に上方修正した南亜科は、42ナノの前倒し導入を検討中であることを認めつつも、設備投資を新たにどの程度拡大するかは現時点では決定していないとしている。一方、手持ち現金の積み上げを目的に今年の株主総会で決定した現金増資案について、42ナノ導入の早期導入に向けて募集した資金を設備投資に使う可能性が出てきたと説明した。
今年の設備投資額を当初の450億元から520億元へと拡大したイノテラは、42ナノ導入前倒しのための設備投資増加額は、7月に公表できるとしている。設備投資拡大のための手持ち現金は十分で、新たに外部に資金を募集することはないとの認識だ。
液浸スキャナーを追加調達
メモリー業界の関係者によると、DRAMの製造プロセスが50ナノ以下に進めば、製造の際の処理工程が複雑化し、より多くの液浸スキャナーが必要になる。
液浸スキャナー2台を保有する南亜科は、今年第3四半期末まで12インチウエハー工場の生産能力を現在の3万枚から5万枚まで拡大する予定のため1台の追加購入を計画している。42ナノ量産のためにはさらに1台調達する必要があるため、年末までに4台体制となる見通しだ。
イノテラは9月末までに7台体制として、今年下半期に12インチ工場の全生産能力13万枚の、50ナノへの転換に対応する。しかし、42ナノ前倒しのためにはさらに3台の追加購入が必要だ。
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