台湾経済研究院(台経院)が25日発表した4月の景気動向調査によると、今後半年間の景気見通しを楽観する製造業者の割合は41.8%で、昨年10月以降の増加傾向が一転、前月比9.5ポイントの大幅減少となった。台経院は欧州の信用不安、朝鮮半島情勢の緊迫化などによる短期的な現象で、今後も小幅な成長が続くと予測している。一方専門家からは、二番底を付けるW字型の景気回復パスを描く可能性が高いとの懸念の声も聞かれる。26日付工商時報などが報じた。
台経院の4月の景気動向調査によると、今後半年間の景気見通しを横ばいとみる製造業者の割合は前月比8.4ポイント増の50.2%で、悲観は前月比1.1ポイント増の8.0%だった。
洪徳生・台経院院長は楽観メーカーの割合が減少した原因について、欧州の信用不安に加え、急速なユーロ安で一部メーカーの4月売上高が前月比で減少したことで、慎重姿勢が強まったためと分析した。
ただ台経院は、欧州の信用不安は昨年末に既に浮上していた問題で、ユーロ安はホットマネー(投機資金)も原因の一つだと指摘。さらに、朝鮮半島の緊迫化は、海外メーカーが韓国への発注を台湾に切り替える効果も期待でき、経済面ではメリットが多いとの認識だ。
一方、中国科技大学商学院の董瑞斌院長は、今年の台湾経済が高成長となっているのは比較対象となる昨年の数値が低過ぎたためで、しかも今回の回復局面は各国政府の経済対策が功を奏したにすぎないと指摘。楽観できる理由はどこにもなく、金融危機後の急激な上昇が「V字回復」を描かず、いったん後退する「W字回復」になるとの懸念を示した。
サービス業、04年水準の活況
台経院が発表した、製造業の業況と今後半年間の景気見通しを数値化した「営業気候観測指数」の4月の値は、前月比0.03ポイント下落の118.25ポイントだった。一方サービス業は、前月比5.45ポイント上昇の132.0ポイントで、景気過熱状態にあった2004年末の水準に近付いた。小売業の母の日セールの好調などが貢献した。
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