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「欧州不安は落着」、ノートPC受託大手が下半期好感


ニュース 電子 作成日:2010年6月2日_記事番号:T00023142

「欧州不安は落着」、ノートPC受託大手が下半期好感

 
 欧州で信用不安が広がった5月、ノートパソコン市場では末端需要の先行きに懸念が出た影響で、ブランドから受託生産メーカーへの発注に急ブレーキがかかった。しかしノート受託大手、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)と広達電脳(クアンタ・コンピュータ)は1日、ともに「欧州問題は既に落ち着いた」との見解を示した。両社は下半期景気を好感しており、今後は出荷量が右肩上がりに増加すると楽観している。2日付電子時報などが報じた。
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 業界関係者によると、4月末から5月にかけての急激なユーロ安を受け、欧州のノートPC販売業者は模様眺めに入っていたが、一定の期間を経て大手ブランドとの間で価格交渉が終わり、5月下旬から積極的に商機を狙う姿勢に転じているという。

 欧州市場の動向については宏碁(エイサー)の王振堂董事長も、「欧州市場に動揺が見られたが、依然ノートPC市場の需要は安定しており、さらに欧州各国が対応策を打ち出していることから、市場リスクは解消した」と語っている。

コンパル「通年で5千万台以上」

 コンパルの陳瑞聡総経理は現状について、「エイサーが欧州向けノートPCの値上げを表明した5月下旬以降、受注が急激に増加しており、材料の補充が追い付かないほどだ」と説明。また今後の出荷見通しについては、第2四半期は月ごとに成長し1,250万台、上半期累計では2,500万台に達するとの予測を示した。

 下半期は、例年の上半期比20~30%成長に比べ慎重な見方ながら同10~15%の出荷増が見込めるとして、通年の出荷予測を従来の4,800万台から5,000万台以上に上方修正した。上半期累計および下半期の成長幅が予測通りとなれば、通年出荷台数は5,250万~5,375万台となる。

 コンパルは昨年、出荷台数3,790万台でクアンタの3,590万台を上回って初めて業界トップに立ったが、今年の通年予測ではクアンタ(5,000万台)に一歩引けを取っていた。しかし今回の上方修正で同水準まで引き上げたことになり、今年の最大手争いがますます激しさを増しそうだ。

下半期に部品部足の懸念なし

 一方、クアンタの梁次震副董事長も、「欧州信用不安は短期的な現象にすぎず、影響は既に緩和している」と指摘。6月、7月と出荷台数が上向き、今後4月に記録した450万台の過去最高を更新すると予測を示した。第2四半期の見通しは従来の前期比15~20%成長を維持。その後、第3、第4四半期と成長を続け、上半期対下半期の出荷比率は42対58となるとの見方を示した。

 なお部品の調達については、一部電源IC、受動部品などが依然ひっ迫しているが、以前に比べ改善しており、下半期は供給不足が発生するという事態には陥らないと語った。年初に問題となった中国の労働者不足問題が既に落ち着き、新たな生産ライン稼働が相次いだことがその理由だ。

【表】