宏碁（エイサー）の５月売上高は、前月比36.38％増、前年同月比45.31％増の504億8,800万台湾元（約1,400億円）と、市場予想を上回る好調だった。市場別売上構成比で６割を占める欧州は、需要が依然強いもののノートパソコン販路の在庫水準は低く、エイサーのユーロ安対策での値上げ措置を見越して発注が前倒しされたと証券会社は分析。欧州信用不安の影響は見られなかったと指摘した。11日付工商時報などが報じた。
ＵＢＳ証券の顔子傑ハイテク産業アナリストは、販売側の在庫水準の低さと前倒し発注が出荷台数を引き上げ、５月売上高に貢献したと指摘した。エイサーのノートＰＣ第２四半期出荷台数は、前期とほぼ同水準を維持し、上半期全 体で1,800万台と予測した。
また、欧州向けオファー価格の引き上げが大幅増収に貢献したとする分析もある。比較対象の４月の数値が低かったことも要因だ。
ある業界関係者は、欧州市場の先行きが混沌（こんとん）とする中、ジャンフランコ・ランチ執行長（ＣＥＯ）が市場変化を現地で肌で感じて対策を講じているところが強みだと指摘した。エイサーは早くも３月末時点で、ユーロ安で利益が侵食される可能性に気付き、ＡＳＵＳに先駆けて利益率の低い受注をカットしている。
ＡＳＵＳはエイサーと対照的に、９日発表した５月の非連結売上高が21.8％もの前月比減少（218億3,600万元）を記録しており、エイサーの経営戦略の巧さが浮き彫りになった形だ。
欧州Ｑ３ハイシーズンに確信
王董事長は先日、欧州市場に関し、一部メーカーから需要が弱まるとの懸念の声も聞かれるが、現在の販売状況はほぼ正常で、受託生産メーカー大手の５月出荷実績もかなりの高水準を維持していると指摘。第３四半期に新学期効果によるハイシーズン入りが見込め、今後の見通しは悲観しないと発言している。
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