女性看護師が性的なイメージで表現されることは台湾でも多く、看護師の同業者団体、中華民国護理師護士公会全国聯合会が「看護師本来のイメージが損なわれる」と抗議の声を挙げている。

　先月12日、地上波テレビ局、民間全民電視（ＦＴＶ）のバラエティー番組「新兵進行曲」で、女性芸能人とダンサーが超ミニの女性看護師の白衣の制服と黒ブーツで、腰をくねらせてセクシーなダンスを踊った。呂月栄・同公会理事長によると、放送中から台湾全土の看護師より多くの抗議の電話が寄せられたという。呂理事長も「看護師は番組の女性のように、ぼさぼさの髪型だったり、ミニスカートで足をあらわにすることはない」と怒り、「女性看護師の尊厳を傷つけた」とＦＴＶに抗議の電話をしたほか、行政院新聞局や台北市衛生局に対しても処分を行うよう要求した。

　女性看護師の白い制服姿は各業界で人気で、アダルトビデオに登場するのはもちろん、セクシーな格好でビンロウを売る「檳榔西施」や、映画館の入場券販売員、病院をテーマにしたレストランでのウエイトレスが着用したことがあり、同公会はそのたびに抗議や注意を行っている。最近では、セクシーな白衣の天使がオンラインマージャンを宣伝するテレビＣＭに、看護師たちが広告差し替えを求めて抗議した。

　女性看護師が性的なイメージを持たれる理由について、精神科医である李光輝・関西培霊医院院長は「男性患者にとって病院内で権力の象徴であるためだ。権力を征服することにおいて、妄想の世界では現実との落差が大きいほど興奮が高まる」と解説する。制服もまた権力の象徴で、この点は女性警官、女性軍人、キャビンアテンダントなども同じなのだそうだ。

　なお、英国で2006年に行われた「最も性的空想をかき立てる職業」という世論調査では、男性の１位は女性看護師で54％、２位はメイドだったいうことで、こうした傾向は世界共通と言えるのかもしれない。ちなみに女性は、１位が消防士で47％、以下、兵士、ビジネスマン、医師、サッカー選手の順だった。