嘉義市に住む警察官の蔡さん（53）は、37年来の愛煙家だった。未成年のころからたばこを吸い始め、これまで何度も禁煙を試みたが、いずれも失敗。しかし、妻のある一言がきっかけで見事、禁煙に成功した。

　夫の健康を気遣い禁煙させたいと考えていた妻は、「あなたが禁煙に成功したら、フェラーリの自転車をプレゼントするわ」と、ご褒美作戦に出たのだ。実は、蔡さんは既に５回も台湾一周したほどのサイクリング好き。妻は、蔡さんがいつもインターネットでフェラーリの高級自転車をチェックしていることを知っていたのだ。

　蔡さんがあこがれるフェラーリの自転車は、フェラーリがイタリアの名門スポーツ用自転車メーカー、コルナゴと共同開発したロードバイク。価格は48万台湾元で、世界に99台しかない。

　妻の一言が、愛煙家の蔡さんに禁煙を決心させたことは言うまでもない。蔡さんは禁煙サポートセンターに通い、禁断症状が出ると、寒い冬でも冷水のシャワーを浴び、その刺激でたばこの味を頭から追い出した。

　こうして蔡さんの努力は実り、見事１カ月間の禁煙に成功！妻は約束通りフェラーリの自転車を注文した。身長や体重、肩幅など蔡さんのサイズに合わせた特注品で、製作期間４カ月を経て、昨年５月に完成した。

　カーボンフレームの軽量高級自転車は、フェラーリのイメージカラー、赤の車体にフェラーリのロゴが光る。あこがれの自転車を手に入れた蔡さんは、この愛車で出勤する毎日だ。友人や同僚の羨望（せんぼう）と好奇のまなざしは、フェラーリのスポーツカーにも劣らないとか。

　ただ、心配なのは盗難。愛車は職場ではオフィスの中に駐輪し、外出先でも片時も目を離さないという。禁煙に成功し、欲しかった自転車も手に入れるとはまさに一石二鳥だが、高級車だけに気苦労も絶えないようだ。