企業経営者の子息や芸能人もよく利用するという桃園県のあるモーテルが、「小三密道」なるものを設置した。「小三」とは夫の不倫を描いた人気ドラマ「犀利人妻」（邦題：結婚って幸せですか？）から流行した「若い愛人」を指す言葉。「小三密道」とはずばり、浮気現場を押さえられそうになった不倫客のための「秘密の逃走経路」のことである。
３棟の建物に計33室を備えるこのモーテルの女性オーナー、蔡さんは、ドラマ「犀利人妻」の熱狂的ファン。主人公の男性が若い愛人を連れてモーテルに行く場面を見た瞬間、このアイデアがひらめいたという。さっそく300万台湾元を投じ、各部屋の裏に設置された配管用の70センチ幅の隙間を「小三密道」に改修した。
部屋から「密道」へ続くドアは、普段は外から施錠されており、利用客は開けることができない。スタッフが通路側から開け、客を出口まで案内する仕組みだ。その間、１分とかからないという。
姦通罪の存在する台湾で浮気現場を押さえるには、警察官と共にモーテルのカウンターに行き、スタッフに部屋へと案内してもらうのが一般的。警察官が部屋に到着するまでの間にモーテル側が客に情報を流すことは十分可能だ。
ある日、既婚女性が夫の友人と浮気をしていたところ、通報を受けた警察と夫が浮気現場を押さえにやって来た。モーテル側は夫が部屋に着くまでの約３分間に、内線電話で女性に知らせ、逃げ道を使って難を逃れさせたことがあるそうだ。
不倫を奨励するかのようなサービスなので、モーテル側は特に宣伝していないのだが、評判が口コミで広がり、半年で業績は３割アップ。不倫カップルにとっては朗報だろうが、追手にとっては許しがたいサービスだろう。
