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パネル談合問題、台湾メーカーの財務に懸念


ニュース 電子 作成日:2011年12月8日_記事番号:T00034246

パネル談合問題、台湾メーカーの財務に懸念

 韓国の公正取引委員会が韓国と台湾の液晶ディスプレイ業者10社に対し、価格談合を行ったとして総額1,940億ウォン(約133億円)の課徴金支払いを求めた問題で、友達光電(AUO)は7日、284億4,200万ウォンの支払通知書を受け取ったと発表した。また、米国で日台韓のパネルメーカーが価格操作を行ったとして消費者から集団訴訟を起こされた問題(AUOは係争中)でも和解金が8社合計で3億8,800万ドルに上っており、景気低迷で深刻な状況にあるパネルメーカーの財務状況がさらに厳しさを増すとの懸念が出ている。8日付経済日報が報じた。

 10月末に韓国公取委が発表した台湾パネル4社への課徴金は計311億ウォンで、AUOを最大とし、その他メーカーは▽奇美電子(チーメイ・イノルックス)、15億5,000万ウォン▽瀚宇彩晶(ハンスター)、8億7,100万ウォン▽中華映管(CPT)、2億9,000万ウォン──。また韓国メーカーへの課徴金は▽サムスン電子、972億ウォン▽LGディスプレイ(LGD)、655億ウォン──。

 AUOは課徴金支払い通知を受けたことについて、「適切な対応に向けて準備を進めており、経営に重大なマイナス影響を受けることはない」とコメント。上訴する姿勢を示した。一方、奇美電、ハンスター、中華映管はともに「今後の対応について検討中」と態度を保留している。一方、韓国メーカーではLGDが今後も争う姿勢を示している。

 なお、米国での集団訴訟で、奇美電は台湾メーカーの中で最大の7,800万ドルの和解金支払いを求められたが、これについて同社は、「既に第2〜3四半期決算に計上しており、今後の財務に大きな負担となることはない」と強調した。AUOは同案件でも潔白を主張しており徹底的に争う構えで、来年1月に米国で出廷する予定だ。

 なお、サムスン電子は、かつて欧州で同様の訴えを受けた際、カルテルの事実を自主申告したとして制裁金を免れたが、今回の韓国、米国でのケースにおいては、支払いを逃れることはできなかった。鴻海科技集団(フォックスコン)の郭台銘董事長がサムスンを「密告者」と公に批判するなど、業界内で「共通の敵」との認識が広がっている。

 台湾メーカーでは、奇美電がシャープと、AUOは中国メーカーとの関係を強めるなど、サムスンに対抗する姿勢を強化している。

中台共同ブランド支援=経済部

 世界的な景気低迷で需要が低下していることに加え、米韓での制裁金支払いにより経営状況への懸念が深まるパネル業界に対し、経済部は、中国投資に関する減税や地場業者との共同ブランド、株式の持ち合いなど関係強化に向けた支援策を打ち出す方針だ。

 台湾のディスプレイ業界は、台湾市場の規模が小さいこと、日韓ブランドが強いことなどから、発注削減が行われる際に優先対象となっており、安定した出荷先の確保が求められている。

 こうした中、政府関係者は「対岸(中国)の関連部署との連携を積極的に進めており、早ければ年内にもパネル業界の受注確保に向けた協議を持つことになる」と明らかにした。その上で、現在中台パネル業界の協力は、中国が台湾から調達を行うだけの関係にとどまっており、中国地場ブランドのテレビが台湾製パネルを搭載しているが、今後共同ブランドが実現すれば、中国市場での展開がより有利になると指摘した。

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