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中台で通貨直接取引、MOU締結


ニュース 金融 作成日:2012年9月3日_記事番号:T00039160

中台で通貨直接取引、MOU締結

  中央銀行の彭淮南総裁は31日、台湾元と人民元の直接取引を始めることで合意し、中国の中央銀行、中国人民銀行と「海峡両岸(中台)貨幣清算合作備忘録(MOU)」を締結したと発表した。MOU締結から60日以内に当たる10月末までに決済銀行を指名し、台湾の外国為替銀行(DBU)で人民元業務を開始する。台湾の企業は中台貿易の決済で米ドルを間に挟む必要がなくなるためコストを抑制でき、個人は人民元建て金融商品に直接投資できるようになる。台湾は今後、香港、マカオに続く人民元オフショア市場(CNT)として長期的発展を目指す。1日付経済日報などが報じた。


彭中銀総裁は、任期半年を残し、中台の金融交流史において画期的な業績を残した(31日=中央社)

 金融監督管理委員会(金管会)の陳裕璋主任委員は同日、中銀の計画に沿って中台間で60日以内に通貨決済システムを構築し、銀行の人民元での預金、融資、振込業務や、証券会社や保険会社の人民元業務を全面開放すると述べた。対象は人民元建てファンド、債権、連動型金融商品、保険契約など。また、今週中にもオフショア銀行部門(OBU)間の人民元の資金融通を認めることを中銀と共同発表する方針を示した。

 中銀が指名する決済銀行は、台湾銀行上海支店の呼び声が高い。劉灯城・同行董事長は指名があればすぐにサービスを提供できる準備があると語った。台湾で現在米ドルの決済銀行を務めている兆豊国際商業銀行(メガ・インターナショナル・コマーシャル・バンク)にも可能性がありそうだ。中国人民銀行は、台湾元の決済銀行を中国銀行台北支店か交通銀行台北支店のどちらからか選ぶとしている。

「企業コスト、3%削減」

 中華民国全国工業総会(工総)の許勝雄理事長は、米ドルなどを介さないことで企業は少なくとも3%のコスト削減が可能で、競争力が向上すると指摘した。金管会は、企業の振込コストは年間500億台湾元(約1,300億円)削減でき、時間も短縮できると見積もっている。

 銀行関係者は、香港の場合は人民元が預金残高の10%を占めるため、台湾の預金残高33兆台湾元の1割に相当する3兆台湾元、6,000億人民元以上の人民元預金が見込まれると語った。

 一方、投資対象が100%中国株式のファンドの発行は、通貨の直接取引の実現を待たずに早ければ9月末にも実現する見通しだ。金管会は既に中銀、行政院大陸委員会(陸委会)の同意を得ており、行政院の決定を待っている段階だ。現状ではファンドの中国株式投資は、純資産の30%までに制限されている。

通貨スワップ協定、交渉続行

 彭中銀総裁は、中台が今後、通貨危機などの緊急時に外貨を融通し合う通貨スワップ協定「両岸貨幣互換機制」締結に向け協議を続けると表明した。

 実現すれば、人民元建て金融商品も台湾の外貨準備高に含まれる。統計によると、7月末時点の外貨準備高は前月比1億2,700万米ドル減少の3,911億800万米ドル。市場観測によると、現状は米ドルが65%を占め、ユーロが20~25%、日本円、スイスフランが10%ずつで、人民元は3番手に浮上する見通しだ。

【表】