江宜樺行政院長は29日、金融監督管理委員会（金管会）の陳裕璋主任委員を更迭し、後任に財政部の曽銘宗政務次長を充てるなど内閣改造を発表した。また、陸軍で兵役中の兵士が虐待死したとされる事件で、高華柱国防部長が辞任し、後任に楊念祖国防部副部長が昇進した。30日付経済日報などが報じた。

曽銘宗氏は29日メディアに対し、まだ金管会主任委員の就任前だとして、抱負を語らなかった（29日＝中央社）

　金管会の陳主任委員は、馬英九総統が台北市長だった時代からの子飼いの部下だったため、更迭は意外感をもって受け止められた。陳氏は金融改革に慎重だったとされ、ネット決済専用口座の開設問題、自由経済モデル区、彰化銀行と台新金融控股の合併問題などで政権中枢と意見が合わなかったとみられる。

　新任の曽銘宗氏は財政部政務次長からの起用で、金融業界での経歴が豊富にあり、業界との意見調整に能力を発揮すると期待されている。

　一方、陸軍で兵役中の兵士が虐待死したとされる事件は、約１カ月にわたり抗議デモなどで世論の圧力を受けた結果、高国防部長を更迭し、制服組ではなく学者出身の楊念祖国防部副部長を充てる人事で、事態収拾を図る形となった。

　このほか、異動があったのは▽行政院僑務委員会（僑委会）委員長、陳士魁・行政院政務委員（社会福祉担当）▽行政院政務委員（社会福祉担当）、馮燕・台湾大学社会工作学系教授▽行政院国軍退除役官兵輔導委員会（退輔会）主任委員、董翔龍海軍司令▽行政院原住民委員会（原民会）主任委員、林江義・同委副主任委員▽行政院公共工程委員会（工程会）主任委員、顔久栄同委副主任委員（任期は官庁再編で交通建設部が発足するまで）──で、新内閣は８月１日に発足する予定だ。