力晶半導体(PSC)とシャープ、ルネサステクノロジの3社は13日、中小型液晶パネル向けドライバICの設計会社を共同で設立すると発表した。力晶は同業の子会社、奕力科技(イリテック)が鴻海集団傘下の群創光電(イノルックス・ディスプレイ)から出資を受けており、今回新たにシャープと提携したことについて14日付経済日報は、「2大グループとの連携によって、中小型パネル向けドライバIC事業で不敗の地に立てる」と優位性を高く評価した。
新会社の名称は「ルネサスSPドライバーズ」で、本社を東京都小平市に置き、今年4月1日から正式に業務を開始する。資本金は50億円で、出資比率はルネサス55%、シャープ25%、力晶20%となる。従業員は170人で、責任者はまだ決まっていない。主な業務は設計、研究開発(R&D)、マーケティングと販売となる。
力晶は傘下の8インチウエハー工場を、ロジックICの受託生産の100%子会社、「鉅晶電子」として独立させることを決めており、ルネサスSPで設計したチップの生産は鉅晶が請け負う。
力晶は提携について、「携帯電話のマルチメディアアプリケーションの高画質インターフェースに対する需要や、新興市場での携帯電話需要から中小型液晶パネルの成長力は大きく、ドライバICの需要も上昇を続けているため」と商機が期待できることを指摘した。力晶は鉅晶の分割後、標準メモリの専門メーカーとなるという。
経済日報はまた、ルネサスSPは、ルネサスとシャープのバックアップにより、製品の値引き合戦に対する競争力を備え、矽創電子(シトロニクス・テクノロジー)、旭曜科技(オリーゼ・テクノロジー)などのドライバICメーカーの強力なライバルになるという予測も示した。
鉅晶の生産ラインを争奪?
なお、ルネサスSPと奕力はともに鉅晶にチップ生産を委託するため、業界からは、鉅晶の生産ラインがフル稼働状態になった場合はルネサスSPの製品が優先され、奕力は生産能力不足に陥る懸念があるという指摘も出ている。