ニュース 運輸 作成日:2015年2月5日_記事番号:T00055334
4日午前に発生した復興航空(トランスアジア航空)ATR72型旅客機墜落事故は、離陸直後にエンジンが停止していた可能性が高いことが分かった。同機は昨年4月の引き渡し以降にオイルの不具合で2回エンジンを交換しており、エンジン関連で何らかのトラブルが起きたのではないかとみられている。交通部民用航空局(民航局)は同日、ATR72型機を保有する復興航空と立栄航空(ユニー航空)に対し、同型機の飛行停止を命じた。5日付聯合報などが報じた。
川岸に吊り上げられた復興機。ブラックボックスは回収されており、飛安会が事故原因を究明する方針だ(5日=中央社)
聯合報によると、復興機は午前10時52分の離陸直後に異常が発生。高度を上げられず、正規の飛行ルートから東寄りに外れた。機長は「エンジンが停止した」と救難信号を発し、管制塔が応答したものの交信は途絶え、離陸から1分30秒で南港軟体工業園区(南港ソフトウエアパーク)近くの基隆河に墜落した。
墜落事故による死者は5日午後2時時点で31人、負傷者は15人となった。12人が行方不明となっており、依然捜索が続いている。
復興航空は4日午後に民航局で記者会見を開き、陳欣徳執行長と幹部らが謝罪した。民航局は5日午前、同社に対し新規航路への就航申請を1年間認めない処分を下す方針を示した。復興航空は昨年7月の澎湖での墜落事故により1年間の就航申請禁止を受けていたが、さらに延長されることになる。
エンジン異常で緊急着陸
民航局によると、ATR72型機はフランスとイタリアの合弁、ATR社製の双発プロペラ機(68〜74人乗り)で、燃費が良く短い滑走路での離着陸が可能なため離島航路に向いており、復興航空のほか立栄航空も台湾域内線の主力機材として使用している。
今回事故を起こしたATR72−600型機は最新型で、復興航空は昨年4月に引き渡しを受けた。ただ、同月19日の引き渡しの際、香港上空を飛行中に1号エンジンに低油圧の異常が起き、マカオ国際空港に緊急着陸した。検査の結果ATR社がエンジンを取り付けた際に瑕疵(かし)があったことが確認され、このためエンジンを交換した。その後松山空港に向かったが、飛行中に再度同じ異常が見つかり、高雄国際空港(小港空港)に緊急着陸し補修を行っていた。
同機はその後松山空港に到着し、間もなく就航したが、昨年8月に今度は1号エンジンからオイル漏れの臭いが確認され、再度エンジンを交換していた。
今回の事故も1号エンジンが動力を失ったためとの見方が出ており、飛航安全調査委員会(飛安会)が原因究明を進めている。専門家によると、エンジンオイル不足でベアリング(軸受)に異常が発生することがあり、最悪の場合エンジンが停止するという。
ATR72型機、全面検査へ
民航局は復興航空と立栄航空に対し、両社が保有するATR72型機(計23機)の全面検査と検査完了までの飛行停止を命じた。林俊良・同局標準組長は、ATR72型機そのものを今後飛行停止とするかは具体的な証拠が必要で、飛安会の調査結果を待ってから決めると説明した。
なお1988年に就航したATR72型機は過去20年で14件の重大な航空事故を起こし、約300人が死亡している。うち3件を復興航空機が占めており、昨年7月に澎湖に墜落したのは旧型のATR72−500型だった。
アジアの航空会社、信用失墜
復興機の墜落事故により、アジアの航空会社が過去1年で起こした重大な航空事故は5件に達し、アジア航空業界への信用失墜に懸念が高まっている。
復興航空以外のアジアの航空会社のうち、マレーシア航空機は昨年3月にインド洋で行方不明になり、乗客239人全員が死亡したと推定されている。同社旅客機は同年7月にウクライナ東部でも墜落(298人死亡)した。同年12月にはエアアジア機がインドネシア沖に墜落、162人が死亡した。
航空リサーチ会社エンダウ・アナリティクスの創業者、シュコア・ユソフ氏は、「相次ぐ航空事故はアジア航空業界の対外イメージにとってマイナスだ。台湾の航空会社は中国人旅行客の増加で今後さらに忙しくなる見通しで、航空安全の確保は急務だ」と指摘した。
機体がほぼ90度傾いて墜落する衝撃の映像は、世界中のメディアで大きく報じられた(4日=中央社)
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