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TSMC南京に12インチ工場、18年に16ナノ生産


ニュース 電子 作成日:2015年12月8日_記事番号:T00060843

TSMC南京に12インチ工場、18年に16ナノ生産

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は7日、中国・江蘇省南京市に12インチウエハー工場と設計サービスセンターを設置することで、経済部投資審議委員会(投審会)に申請を行ったと発表した。月産能力は2万枚、2018年下半期に16ナノメートル製造プロセスでの生産を開始する計画。投資額は30億米ドルと同社の対中投資で過去最高額となる。急成長する中国の半導体需要を取り込む。8日付経済日報などが報じた。


TSMCの張忠謀(モリス・チャン)董事長(左)は、南京市政府の投資優遇条件に満足して同市への工場設置を決めたようだ(経済部リリースより)

 TSMCの中国業務は過去5年の年間複合成長率(CAGR)が50%を上回っており、商機を拡大するために同社初となる中国12インチ工場の設置を決めた。

 新工場は南京市の浦口経済開発区に設置する。TSMCは、南京市には比較的充実した半導体サプライチェーンが構築されているほか、優秀なエンジニアが多く、地元政府の協力姿勢も考慮して同市への設置を決めたと説明した。

 TSMCは知的財産権を守るため、単独で投資する。新工場には台湾の既存設備も搬入するほか、南京市政府による投資優遇措置などが期待できるため、実際の投資額は30億米ドルを下回る見通しだ。

 新工場と設計サービスセンターはそれぞれ1,200人、500人を雇用する計画。当初は台湾本部と上海松江8インチ工場の従業員を派遣して建設、生産能力構築の支援に充てる。新工場は量産前は台湾人従業員が過半を占める見通しだ。

16年半ばにも着工

 投審会は7日、早ければ来年1月末にもTSMCの投資申請の審査を終え、認可を出せると見通しを示した。TSMCはゴーサインが下り次第すぐに投資計画を進めると表明しており、来年半ばにも南京12インチ工場に着工するとみられる。

16ナノでSMICに機先

 経済部は今年9月、単独出資による中国での12インチ工場の投資規制を撤廃したが、「製造プロセスが台湾より1世代以上遅れていること」の制約を課した。TSMCは17年に10ナノが量産入りする見通しのため、南京12インチ工場には16ナノ立体構造トランジスタ(FinFET)製造プロセスの生産ラインを設置できる。実現すれば中国で最先端のロジックIC生産工場となる見込みだ。

 バークレイズ・キャピタル証券の半導体アナリストは、TSMCの中国顧客は現在、主に28ナノを採用しており、16ナノには魅力があると指摘した。

 このほか、外資系金融機関のアナリストからは、TSMCの16ナノ生産ライン設置は中国のファウンドリー最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)が14ナノ開発に乗り出す前にその出ばなをくじく狙いがあるとの分析も出た。SMICは現在28ナノに注力しており、14ナノ開発計画は不明だ。

中国進出が不可避に

 半導体大手の中国12インチ工場はインテルが遼寧省大連市に、サムスン電子が陝西省西安市に設置しているほか、台湾のファウンドリー勢では聯華電子(UMC)が福建省アモイ市、力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)が安徽省合肥市で合弁により建設中で、それぞれ17年に量産予定だ。TSMCの南京12インチ工場の月産能力は同社の台湾12インチ工場全体(70万〜80万枚)の2.5%にすぎないが、業界首位の同社も設置を決めたことは、中国進出は世界の半導体企業にとって不可避の流れであることを明確に示している。 

【表】