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日系コンデンサーにカルテル認定、公平会が罰金58億元


ニュース 電子 作成日:2015年12月10日_記事番号:T00060897

日系コンデンサーにカルテル認定、公平会が罰金58億元

 公平交易委員会(公平会、公正取引委員会に相当)は9日、日本ケミコンなど日系企業を中心としたコンデンサー10社が国際的な価格カルテルを結んでいたとして、計57億9,660万台湾元(約210億円)の罰金を科すことを決定した。国際カルテルに対する公平会の罰金額としては過去最高だ。台湾では鴻海精密工業や台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)などが被害を受けていたとされる。10日付経済日報などが報じた。


罰金対象の9社が海外の企業だが、公平会の邱永和副主任委員は「企業が罰金を支払わなければ、弁護士などを通じて支払い督促、差し押さえなどの行政処分を下すことができる」と表明した(9日=中央社)

 コンデンサーは一時的に電気を蓄える電子部品。今回カルテルを指摘されたのは、家電やデスクトップパソコンなど比較的大型の電子製品に使用されるアルミ電解コンデンサーと、ノートPCや携帯電話など小型、軽量薄型の電子製品に使用されるタンタル電解コンデンサーのメーカーだ。

 罰金対象と罰金額は、アルミ電解コンデンサーの▽日本ケミコン、18億6,830万元▽ルビコン、12億4,800万元▽三洋電機(香港)、8億4,200万元▽台湾佳美工(日本ケミコン台湾法人)、2億9,380万元▽ニチコン(香港)、1億1,130万元▽香港ケミコン、8,290万元▽エルナー、7,660万元──の計7社、45億2,290万元。およびタンタル電解コンデンサーの▽NECトーキン、12億1,820万元▽米ビシェイポリテック、3,120万元▽松尾電機、2,430万元──の計3社、12億7,370万元。

 公平会によると、アルミ電解コンデンサー7社は少なくとも2005年〜14年1月に、日本、香港での会議、電子メール、電話、会合などを通じて、価格、数量、生産能力、顧客への対応方法などの情報を交換していた。タンタル電解コンデンサー3社も同様の行為を働いた。

 公平会は、日本ケミコン、ルビコン、ニチコンはアルミ電解コンデンサーの世界上位3社で、タンタル電解コンデンサー3社も世界市場で一定のシェアを有しており、競争を制限した10社の行為は台湾市場の需給調整機能に影響を与えたと指摘。7社の同期間の台湾における販売額は500億元、3社は160億元に上り、不当利得が大きかったことなどから、反トラスト法(独占禁止法に相当)違反で、カルテル関与度に応じて10社に前会計年度販売額の10分の1以下の罰金処分を決めた。

 公平会は今回のカルテルについて、昨年3月から米国、欧州連合(EU)、シンガポールなどと共同調査に着手していた。現在、米国、EU、日本、韓国、シンガポール、中国で調査などが進められている。公平会の罰金処分は同カルテルに関して下された世界初の処分とされる。

 罰金額が最大となった日本ケミコンの広報担当者はワイズニュースの取材に対し、「正式な通知を受け取ってから、何らかの発表を行うことになると思う」とコメントした。

台湾はほぼ輸入頼み

 台湾のアルミ電解コンデンサーメーカーは規模が日系メーカーに遠く及ばず、台湾はアルミ電解コンデンサーの97%を輸入に頼っている。タンタル電解コンデンサーは台湾地場メーカーが存在せず、100%輸入頼みだ。アルミ電解コンデンサー7社のカルテルにより鴻海、デルタ、光宝科技(ライトン・テクノロジー)、タンタル電解コンデンサー3社のカルテルにより仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、緯創資通(ウィストロン)などが被害を受けていたという。デルタは、カルテル解消でコンデンサー価格が下がれば助かると表明した。

 マザーボード世界最大手でコンデンサーの大規模調達者でもある華碩電脳(ASUS)も、市場で正常なコンデンサー価格が形成されれば、調達コストが下落すると期待感を示した。同社のマザーボードに占めるコンデンサーのコストは3〜4%、ノートPCで1〜2%を占めるが、セラミックコンデンサーが中心で、アルミ電解コンデンサーの割合は小さい。業界では品質で勝るセラミックコンデンサーがアルミ電解コンデンサーに取って代わる傾向にあるという。

【表】