ニュース 金融 作成日:2015年12月18日_記事番号:T00061053
中央銀行(中銀)は17日、政策金利を1.625%へと0.125ポイント引き下げ、きょう18日から実施した。景気を刺激することが狙いだ。今年9月に続いて2四半期連続の利下げで、米国の利上げと逆行する金融緩和策は市場に驚きをもって受け止められた。18日付経済日報などが報じた。
米利上げが台湾に与える影響について彭総裁は「台湾の国際収支は良く、外貨準備高も潤沢」と述べ、為替変動に対応できるとの考えを示唆した(17日=中央社)
「米国が利上げすれば中銀は利下げしない」というのが市場の大方の予想だった。予想を裏切る追加利下げは、台湾の現在の不景気に対して、金融緩和策を継続する必要があると中銀が認識していることを示すものだ。
中銀は追加利下げを決めた理由について、9月に政策金利を1.75%へと0.125ポイント引き下げた後、世界経済の回復の足取りが予想を下回り、台湾の経済成長率が下振れしたほか、産出量ギャップ(実際のGDPと、民間の設備や労働力を平均的に使って生み出せる潜在GDPとの差)が拡大した一方で、インフレ見通しは穏やかなためと説明した。
中銀の彭淮南総裁は、来年の世界経済成長率は今年を若干上回る見通しだが、米利上げがもたらし得る金融市場の不安定化など下振れリスクが依然あるため、利下げで景気を刺激すると説明。利下げの効果はすぐには表れないが、「利下げしないよりはましだ」と強調した。
米国下回る経済成長率
米国の利上げに逆行したことについて彭総裁は、▽米グローバルインサイトの予測によると米国の今年の経済成長率は2.5%、来年は2.7%だが、台湾はそれぞれ1.0%、2.0%にとどまる▽米国の産出量ギャップはほとんどないが、台湾はマイナスかつ拡大している▽台湾の1〜11月消費者物価指数(CPI)上昇率が米国を下回っている▽米国の実質金利はマイナス0.1%だが、台湾の実質金利は0.321%──と説明した。
また、米国が利上げし台湾が利下げしたことで、外資が台湾から撤退し、台湾株式市場に悪影響を与えるとの懸念について彭総裁は、外資は16、17日と2日連続で台湾株を買い越したと指摘。外資は企業の収益力をみており、一部の台湾企業の株価収益率(PER)は中国企業よりかなり低いため、外資が買わない理由はないと断言した。
なお彭総裁は経済成長率を高めるための方策として、▽輸出強化に向けた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)・環太平洋経済連携協定(TPP)など地域経済統合への参加▽内需拡大に向けたインフラ投資加速▽労働力不足解消に向けた定年引き上げや出産奨励──などが必要と提言した。
効果に疑問の声も
金融監督管理委員会(金管会)の曽銘宗主任委員は利下げに対し、経済全体が不振にあえぐ中、利下げによって資金調達コストが下がり、企業の投資意欲を高められるとして、中銀は合理的かつ必要な判断をしたと評価した。また、17日の台湾株式市場の加権指数が前日比135.01ポイント(1.65%)上昇し、売買代金が1,200億台湾元(約4,400億円)に達したことを挙げ、利下げ後も外資は流出しないとの見通しを示した。
ただ銀行関係者や学者からは、企業の資金はむしろ潤沢で、使い道がない上に景気見通しが不透明なことが投資意欲を減退させている理由だとして、利下げの効果を疑問視する声も出た。
「台湾元安が続く」
台湾元の対米ドル相場は17日、1米ドル=33元を再び割り込み、1米ドル=33.035元で引けた。市場関係者は、中銀は利下げで台湾元安に誘導し、輸出振興を図る構えで、台湾元安基調が今後も続くとの予想を示した。ただ、18日午前の台湾元相場は反発し、1米ドル=32.892元で取引を終えている。
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