ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

中国人旅客の台湾乗り継ぎ、実現微妙に


ニュース 運輸 作成日:2016年1月27日_記事番号:T00061742

中国人旅客の台湾乗り継ぎ、実現微妙に

 中国人旅客の台湾での航空機乗り継ぎ実現が、総統選の結果を受けて不透明な情勢になってきた。政府関係者は、中台間の協議は続いているが雰囲気が微妙になり、乗り継ぎが実現するかは未知数だと指摘した。総統選前は1月中にも実現すると報じられていたが、中国側は実施時期を明らかにしておらず、見送りとなれば航空会社などの期待は空振りに終わる。27日付経済日報が報じた。

 中国人旅客の台湾乗り継ぎをめぐっては、中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)が今月5日、まず江西省南昌、重慶、雲南省昆明の3市から桃園国際空港を経由して第三国へ乗り継げるようにすると発表。中国の対台湾窓口機関、海峡両岸関係協会(海協会)や航空会社関係者が桃園空港での乗り継ぎ経路を確認するため来台するはずだったが、まだ実現していない。

 政府関係者は、一部の議題は協議の進展があまり期待できず、乗り継ぎを実現できたとしても春節(旧正月、今年は2月8日)に間に合わせるのはやや困難だと話した。

 なお中国側は主権問題に基づいて、協議の中で台湾側に▽乗り継ぎ客を台湾に入境させない▽台湾側のビザに相当する「台湾地区入出境許可証」(入台証)を検査しない▽旅券に「中華民国」の証印を押さない──の3点を書面で確認するよう要求したが、その後台湾側が提出した説明文書には納得したようだ。

 また、台湾の対中窓口機関である海峡交流基金会(海基会)は26日、フライトの遅延による乗り継ぎミスなど、中国人旅客の台湾乗り継ぎ解禁後に起こり得る事態を想定した対応策を25日に海協会へ伝えたと説明。乗り継ぎ客が空港で夜を明かす必要が生じた場合は申請が必要で、内政部移民署の認可を経て、航空会社関係者が休憩室に案内するという。

さらなる締め付けも

 民進党の蔡英文主席が16日の総統選で当選して以降、中国は台湾を締め付ける動きを矢継ぎ早に見せている。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群初代総裁が17日、台湾のAIIB加入を事実上歓迎しない意向を示したのに続き、最近は中国人の訪台ツアー客を3月20日から6月30日までの間、3分の1削減するとの通知が台湾の旅行会社に中国同業から相次いで伝えられている。そして今回、中国人旅客の台湾乗り継ぎ実現も見通し不透明となった。

 馬英九政権は「1992年の共通認識(92共識)」を基盤に中国と経済交流を進めてきたが、蔡次期総統は92共識を認めていない。中台が今後も歩み寄れなければ、中国は引き続き経済カードで台湾に圧力をかけてくる可能性が高い。