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馬総統が太平島上陸を強行、米は失望表明


ニュース 政治 作成日:2016年1月28日_記事番号:T00061744

馬総統が太平島上陸を強行、米は失望表明

 馬英九総統は28日午前、南シナ海、南沙諸島(スプラトリー諸島)で台湾が実効支配する太平島に上陸した。米国務省のトナー副報道は「失望しており、南シナ海の紛争の平和的解決には無益で、貢献することはない」と改めて批判した。政権交代が決まったにもかかわらず、あえて領有権紛争の渦中にある南シナ海の島への訪問は、地域の緊張を不必要に高めかねないとして批判を浴びている。中央社などが28日報じた。

 馬総統は上陸後、駐留する台湾は行政院海岸巡防署(海巡署)の職員らの労をねぎらった後、「太平島は岩礁ではなく島しょだ。国際社会には疑問視する声もあるが、実際に確かめに来ればよい」と声明で語った。これはフィリピンが昨年11月、国際仲裁裁判所で太平島を「島しょではなく岩礁だ」と主張したことへの反論で、馬政権は今回の上陸の目的として、台湾側の主権への挑戦に対し、今年6月に仲裁判断が下される前に対抗措置を講じる必要があったと説明していた。

 馬総統はさらに、南沙諸島、西沙諸島、東沙諸島、中沙諸島と周辺の海域は中華民国の固有の領土と海域であり、国際法上の権利に疑いはないと主張。その上で、領有権問題の解決策として、争議を棚上げして互恵の立場で共同開発を行う「南シナ海平和イニシアチブ」を改めて提案した。

 南シナ海全域に対する領土・主権主張で中国政府と台湾政府は一致しており、馬総統の談話は領有権問題で台湾が中国と共同歩調を取るとの誤解を国際社会に与えかねない。独立派のシンクタンク、新台湾国策智庫(台湾ブレイントラスト、TBT)の林廷輝副執行長は、今回の上陸によって、台湾は南シナ海問題において、かえって発言権を低下させかねないと懸念を表明した。