行政院主計総処が29日発表した台湾の2015年実質域内総生産（ＧＤＰ、速報値）は人民元換算で約３兆1,600億元（約58兆円）で、中国内陸部の河南省（３兆7,000億元）に追い抜かれた。30日付工商時報が報じた。
台湾の鄧振中経済部長は、今年は域内投資の障害を除去し、企業の経営環境を改善すると表明した（29日＝中央社）
中国の省別の15年ＧＤＰは上位から▽広東省、７兆2,800億元▽江蘇省、７兆600億元▽山東省、６兆3,000億元▽浙江省、４兆2,900億元▽河南省──。台湾のＧＤＰは沿岸部の上位４省に2007年以降既に追い抜かれていた。
河南省の人口は多いが、農業生産が盛んで都市化率は低い。同省のＧＤＰが台湾を上回った背景には、中国政府がここ数年促進してきた企業の内陸部への移転と、産業構造の転換がある。台湾企業では鴻海精密工業傘下の富智康集団（ＦＩＨモバイル）などが同省に進出している。
なお省別の15年ＧＤＰで11位だった福建省（２兆5,900億元）は、これまで経済成長が比較的緩やかだったが、「一帯一路（海と陸のシルクロード経済圏）」や自由貿易試験区などの政策が追い風になっており、18年にＧＤＰで台湾を追い抜くと昨年宣言している。
