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メディアテック昨年44%減益、中国競合と競争激化で


ニュース 電子 作成日:2016年2月2日_記事番号:T00061871

メディアテック昨年44%減益、中国競合と競争激化で

 IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)は1日の業績説明会で、2015年は0.1%の増収ながら、44.5%もの減益に見舞われたと発表した。スマートフォン用チップなど主要製品の16年出荷目標は示さなかった。異例のケースだ。2日付経済日報は増収減益について、同社主要製品のロー~ミドルエンドスマホ用チップは価格が安いためと指摘。工商時報は、中国の紫光集団傘下、展訊通信(スプレッドトラム・コミュニケーションズ)との競争激化が原因と分析した。紫光集団がメディアテック買収に意欲を示す中、証券会社は、台湾政府がIC設計の中国資本受け入れを開放しなければ、中国市場での発展の機会が失われると警告した。


蔡明介(ミンカイ・ツァイ)董事長は先月末、台湾ハイテク業界は転換を迫られており、中国を含む世界に対しオープンでなければ、チャンスはないと語った(中央社)

 メディアテックの昨年通年の連結売上高は前年比0.1%増の2,132億5,500万台湾元(約7,700億円)、粗利益率は5.6ポイント低下し43.2%、純利益は44.5%減の257億6,900万元だった。

 昨年第4四半期売上高は前期比8.3%増、前年同期比11.3%増の617億1,300万元、営業利益が前期比50.8%減、前年同期比62%減の37億4,800万元、純利益は前期比47.5%減、前年同期比59.8%減の41億8,100万元だった。中国市場でシェアを40%に拡大したものの、粗利益率は前期比4.2ポイント下落の38.5%、営業利益率は前期比7.2ポイント下落の6.1%と、いずれも過去最低を更新した。

 謝清江メディアテック総経理は、第1四半期売上高は前期比7~15%減、粗利益率は37~40%、スマホとタブレット端末用チップ出荷は1億~1億1,000万セットで前期と同水準との予測を示した。通年出荷予測を示さないのは、市場の不確定要素が多いためと説明した。ただ、スマホ、IoT(モノのインターネット)関連チップの売上高が2桁成長し、通年売上高は1割増えると予測した。同社はスマホ用チップが売上高の50~60%を占めており、今後2~3年は増収が続くと予測した。

4Gチップ拡大

 謝総経理は、昨年第4四半期の在庫水準は低く健全な状態で、中国の通信キャリア大手、中国移動通信(チャイナ・モバイル)関連の需要もあったが、第1四半期は非需要期の上、春節(旧正月、2016年は2月8日)があり稼動日が少ないと弁明。市場競争は厳しく、特に第4世代移動通信システム(4G)対応ロー~ミドルエンドスマホが大変だと語った。

 謝総経理は、今年は4G対応プロセッサー「Helio(ヘリオ)」の売上高構成比を8%から20%に引き上げ、4G向けが全体の過半を占めると予測した。第1四半期末に20ナノメートル製造プロセスの「HelioX20」、上半期にLTECat.6対応の「HelioP20」をリリースし、LTECat.10対応「HelioX30」は来年初めに量産すると語った。

 顧大為財務長は、ハイエンド製品の割合が増えれば、その1~3四半期後に粗利益率も上昇すると説明した。

 一方、モルガン・スタンレー証券のアナリストは先月末、メディアテックはチップ価格引き下げで市場シェアを守るとの見方を示している。

インテルによる買収観測も

 中国資本によるM&A(合併・買収)について謝総経理は、M&Aも成長戦略の一つとして同社は常にオープンな姿勢で、製品ラインアップの充実とIoT分野の加速が考慮する点だと述べた。

 米国の投資情報サイト、「The Motley Fool」は、インテルがメディアックをプレミアム30%で買収してはどうかと提言した。メディアックはクアルコムに次ぐ世界2位ながら、現在の株価は1株200元前後なので、130億米ドルで買収でき、インテルのアルテラ買収価格167億米ドルより安いと指摘した。