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台北の文化発信基地、誠品敦南店が閉店か


ニュース 社会 作成日:2016年2月3日_記事番号:T00061872

台北の文化発信基地、誠品敦南店が閉店か

 米CNNが「世界で最もクールな書店」の一つに挙げたこともある、24時間営業の誠品書店・敦南店(台北市大安区)が閉店すると伝えられている。現在同店が入居するビルが、高級ホテルに改築されることが理由とされるが、台北の文化発信基地として外国人客も多く、観光スポット化している同店の閉店は大きな損失と懸念する声が上がっている。


誠品敦南店はカップルたちのデートスポットとしても利用されている(同店フェイスブックページより)

 敦南店は1989年創業の誠品書店・第1号店で、もともとは仁愛路と敦化南路のロータリー付近のビルに入居していたが、ビル取り壊しに伴い95年、現在の敦南金融大楼に移転することになった。

 なお敦南金融大楼は誠品書店の入居前、百貨店への改装を計画していたが、当時の陳水扁台北市長が「当市に百貨店が1店増えなくてもよいが、誠品書店を失ってはならない」と語り、移転を後押しした経緯がある。

 誠品敦南店はそもそも芸術関連書籍の専門店だったほか、店内には音楽が流れ、喫茶スペースも設置されたアートでおしゃれな雰囲気があふれる店舗となっている。99年には24時間営業を開始し、さらに多くの文学青年や夜遊び族が集まる人気スポットとなり、「台北のナイトライフを変えた」とも言われている。

 また地上2階、地下3階の5フロアから成り、10万種、23万冊の書籍を集めた2階のほか、音楽フロア、子供向けフロアを開設、クリエイティブ商品なども販売する同店は、台北の文化的ランドマークとして多くの外国人を集めており、来店者のうち観光客が約3割を占める。

 しかし一昨年に敦南金融大楼の100%権益を取得した霖園集団傘下の不動産開発業者、宝豊隆興業は、同ビルを高級ホテルに改築する意向を持っているとされ、誠品書店が退去に追い込まれるとの観測が出ている。

 これについて宝豊隆は「コメントできない」とのみ回答。一方、誠品側は「賃貸契約の期限は2020年で、契約に基づいて営業を継続する」と短期内の閉店は否定した。しかし「宝豊隆が前倒しで契約を打ち切った場合、これに対抗する方法はあるか」との質問に誠品はコメントしなかった。

 唯一無二の存在といえる特色ある書店が、台北に数多く存在する高級ホテルの一つに取って代わられるというのは何とももったいない話で、今後の成り行きが注目される。