ニュース 電子 作成日:2016年2月4日_記事番号:T00061922
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が中国南京市で12インチウエハー工場を単独出資で建設する投資計画が3日、経済部投資審議委員会(投審会)に認可された。製造プロセス16ナノメートルで、2018年下半期に稼働し、月産能力2万枚を予定している。台湾半導体企業が単独で中国に12インチ工場を建設するのは初めて。投資額は、台湾企業による対中投資としては過去最高の30億米ドルに上る。業界関係者は、南京工場はTSMCの生産能力の2.5%にすぎないが、中国政府が現地生産を強化し、「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」が勢力を増す中、台湾の半導体関連企業による中国進出は不可避の流れだと指摘した。4日付経済日報などが報じた。
投審会の張銘斌執行秘書は、TSMCは台湾で今年10ナノプロセスで試験生産、来年量産する計画で、中国での16ナノプロセス生産の条件を満たすと述べた(3日=中央社)
経済部工業局核心技術審査小委員会がTSMCに対し要求した条件は、▽中国投資は台湾での製造プロセスより1世代以上遅れていること▽経営権を掌握すること▽台湾で相応の投資と研究開発(R&D)を行うこと▽世界市場で優勢に立つこと▽今後3年は雇用を増やすこと▽中国投資を理由に台湾で人員を削減したり、融資を減らしたりしないこと──。同社はこれを受け入れ、今後3年以内に中部科学工業園区(中科)で8,600億台湾元(約3兆円)を投資し、毎年2,500~3,000人を雇用することを約束した。南京工場では1,200人を雇用する見通しだ。
TSMCは、3年後に世界市場シェアが55%から57%に、中国市場シェアは46%から50%に拡大すると試算している。
下半期に着工へ
TSMCの南京12インチ工場認可の発表を受け、南京市の江北新区管理委員会は3日、工場予定地は整備済みで、春節(旧正月、2016年は2月8日)開けにも着工可能とコメントした。TSMCは、下半期の吉日に着工すると表明した。
業界関係者は、TSMCはクアルコムと長年提携するなど、技術力が秀でており、南京12インチ工場が稼働すれば、中国の大口顧客から受注できると予測した。
TSMCの南京12インチ工場は、聯華電子(UMC)、力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)に続く台湾企業3社目だ。UMCは、福建省アモイ市政府と合弁で聯芯集成電路製造(アモイ)を設立した。年末に稼働予定で、投資額は5年で13億5,000万米ドルの見込み。パワーチップは、安徽省合肥市政府と合弁の晶合集成電路の工場が昨年10月に着工した。17年10月末までに稼働予定で、液晶パネル大手、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)と提携する。
技術流出防止に監督強化
調査会社、微駆科技(エクスプロア・マイクロエレクトロニクス)の呉金栄総経理は、台湾政府が中国での12インチ工場は3基までと総量規制を敷いている上、中芯国際集成電路製造(SMIC)など中国の競合は依然28ナノプロセスにとどまり、16ナノプロセスへの移行はめどが立っていない状況で、TSMCは海信集団(ハイセンスグループ)、展訊通信(スプレッドトラム・コミュニケーションズ)などから直接受注でき、受注が安定すると評価した。
一方、投資顧問会社、大展投顧の李政諺策略長は、中国が自製率を引き上げる中、TSMCは脅威を感じて対中投資を余儀なくされたと分析した。中国のIC設計会社は日増しに実力を伸ばし、今後数年のIC設計市場は、台湾が後退する一方で中国が勢力を強めるとの見通しを示した。
民進党の施克和・政策会主席副執行長は、半導体の先進技術が流出せず、国際的競争力を維持できるような政策が必要で、新政権は厳しく監督すると述べた。
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