ニュース 電子 作成日:2016年2月5日_記事番号:T00061942
経営再建中のシャープが4日、鴻海精密工業からの出資を受け入れる方向で交渉を進めると表明したことについて5日付蘋果日報は、「鴻海が台湾企業であることが日本側の態度軟化に大きなプラス効果を及ぼした」との見方を伝えた。
シャープはLTPS(低温ポリシリコン)パネルおよび次世代の有機発光ダイオード(OLED)に関する重要技術と特許を保持しているため、同社および日本政府は鴻海の出資により技術が国外に流出するとの懸念を抱いていた。
しかし、鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長が自ら経済産業省やシャープ本社を訪れて説明を行い、現在の経営陣の留任や従業員を削減しないことを確約したことから、日本側が同社の支援受け入れに傾いたとされる。
また業界関係者は、一般の日本人は鴻海について、「受託生産を手掛ける台湾企業」程度の知識しかなく、同社が中国や韓国企業であれば拒否感はさらに強かったと指摘している。
また業界では、鴻海のシャープへの出資はアップルからの受注が目的とみられている。鴻海はこれまでLTPSパネルに関する大規模投資を進めてきたが、シャープの技術協力が得られれば投資リスクを低減でき、アップルなど大手ブランドからの受注に有利となる。これによりパネル市場をリードする韓国メーカーに対抗する方針とされる。
ただ、鴻海が現在のシャープの経営に介入せず、経営陣の留任を承諾したとの報道について業界では、経営状況を悪化させた経営陣を残したまま、鴻海が関与せずに再建が進むのかとの疑念の声も出ている。
郭董事長の今回の交渉手法について、市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーの邱宇彬上級研究協理は、「買収条件をどんどん引き上げ、それをメディアを使って宣伝しており、本心から焦っているように見える。交渉は本来見えない所でやるものだ」と評した。そして、こうした手法はシャープ株主の心を動かす効果がある一方、今後、日本の官民ファンドの産業革新機構(INCJ)も買収額を上乗せする可能性があるとの見方も示した。
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