ニュース 社会 作成日:2016年2月15日_記事番号:T00061972
6日に発生した台湾南部地震で、これまでに確認された死者は116人、負傷者は551人に上り、51人が入院中、109人が避難所13カ所で避難している。死者のうち114人は台南市永康区の商業施設複合型高層マンション「維冠金龍ビル」の倒壊によるもので、ずさん建築がもたらした人災の側面が強まっている。台南地方法院検察署は同ビルを建設した維冠建設の責任者、林明輝氏(64)と建築士2人の身柄を拘束し、事故原因の究明を続けている。15日付聯合報などが報じた。
倒壊した維冠金龍ビル。現在はがれきの撤去が終了している(9日=中央社)
南部地震は6日午前3時57分に発生。被害は台南市に集中し、一時16万8,000世帯が停電、5万世帯が断水に見舞われた。同市では現在も421世帯で停電、5,000世帯で断水が続いている。
人的被害が最も大きかった維冠金龍ビルは「コ」の字型の地下1階・地上16階建てで、「コ」の右部分に当たる東側に向かって横倒しになった。建物内に取り残された被災者289人の救出作業は13日午後3時57分まで約7日半続き、175人が生還した。死者は折り重なって倒れた建物の下層部分に集中した。消防隊員など延べ8,000人が救出に当たった。
補強筋の使用量半分
維冠金龍ビル倒壊の原因としては、地震の揺れによる地盤の液状化現象なども指摘されているが、ビルのコンクリート片から食用油缶や発泡スチロールとみられる白い塊が発見され、当初から手抜き工事の疑いが浮上していた。
また台南地検の調査によると、ビルの梁(はり)を補強するあばら筋の使用量が構造計算書の記載の半分にすぎず、耐震性能に影響していたことが分かった。台南地検は8日、林氏と建築士2人を呼び出し、取り調べを行った。林氏は手抜き工事の疑いを否認したとされるが、台南地検は林氏が重要事項への供述を避けているとして、9日、業務上過失致死などの疑いで3人の身柄拘束を請求し、同日認められた。
台南地検は12日、林氏が設立した会社の社員などへの事情聴取も行った。同社員は林氏に不利な証言をしたとみられる。台南地検は同日、林氏宅を家宅捜索し、複数の資料を差し押さえた。
資産仮差し押さえ
今後は事故原因の究明のほか、責任追及、被災者への賠償などが焦点となる。台南市政府は11日、被災者5人に代わって林氏らが保有する3,000万台湾元(約1億円)相当の資産仮差し押さえを台南地方法院に申し立て、12日認められた。林氏は台南市などに土地30件以上を保有しているという。台南市政府は14日夜の時点で遺族93人から仮差し押さえ請求の代理委託を受けており、仮差し押さえの対象を維冠建設の株主にも広げて15日に再び裁判所に申し立てた。
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