ニュース 社会 作成日:2016年2月18日_記事番号:T00062027
国民党政府が戦後間もない1947年に台湾住民を弾圧した「228事件」をめぐり、台湾高等行政法院は17日、事件に巻き込まれて犠牲になった日本人漁師の遺族、青山恵昭さん(72、沖縄県浦添市)に賠償金600万台湾元(約2,000万円)を支払うよう財団法人「二二八事件紀念基金会」に命じる判決を下した。基金会が上訴を見送った場合、青山さんは228事件で賠償金を受け取る初の外国人となる。
青山さんは父の遺影と共に記者会見し、「父の無念も晴れ、天国で喜んでいるに違いない」と語った(17日=中央社)
青山さんの父、恵先(えさき)さんは33年より基隆市社寮島(現在の和平島)の沖縄人集落に住み、日本人女性と結婚、43年に恵昭さんをもうけた。228事件での沖縄県民の被害を調査した又吉盛清沖縄大学客員教授によると、当時、国民党軍は社寮島で虐殺を行い、少なくとも30人の沖縄県民が死亡している。恵先さんもこの際に殺害され、一昨年12月、台湾政府より外国人として初めての被害者認定を受けた。
恵昭さんは昨年、損害賠償の支払いを求めて提訴し、高等行政法院は今回、外国人への支払いを認めない条文はないなどどして青山さんの訴えを認めた。青山さんは「人権と正義をうたい上げる画期的な判決だ」と評価し、基金会に上訴をしないよう求めた。
基金会は来週、董事会を開催して上訴するか否かを決める。内政部は日台間に「平等互恵」の立場に基づく国家賠償の先例がないこと、および日本の裁判所が台湾人慰安婦への賠償を認めなかったことから青山さんへの補償に反対しており、内政部の代表者と基金会の幹部で、最終的には多数決で決められる可能性もあるという。
基金会の幹部は「被害者を国籍で分けるべきではない」との立場だ。また、訴訟を担当した薛欽峰弁護士も、228事件と、台湾人慰安婦、台湾人元日本兵に対する補償問題を一緒に考えるべきではなく、内政部の主張が偏っていることは既に判決で示されたと訴えている。同裁判は、国民党独裁政権時代に弾圧された弱者の権利回復に対し、馬英九政権が本腰を入れて取り組むか否かを見る指標とされていた。来週の基金会の判断が注目される。
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