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PM2.5汚染の中マラソン、ランナーが一時重体に


ニュース 社会 作成日:2016年2月22日_記事番号:T00062078

PM2.5汚染の中マラソン、ランナーが一時重体に

 高雄市で21日、環境保護署(環保署)が発表するPM2.5(微小粒子状物質)の濃度指標が10段階で最も高い「10(非常に高い、紫)」に達する中でマラソン大会が実施され、ランナーの1人が倒れて一時心肺停止となる事故が発生。医師からは「マラソン時にランナーが吸い込むPM2.5の量は徒歩の10倍に相当し、今回の条件下で走るのは自殺行為」との指摘が上がった。


高雄市体育処は「参加者の多くは半年前に申し込んでおり、大気汚染を理由に中止できない」と説明したが、医師からは「屁理屈だ。大型台風が来ても開催するのか」との批判が出た(高雄市リリースより)

 約3万人のランナーが出場した「高雄国際マラソン」が開催された21日、環保署のデータによると高雄市内の観測所14カ所のうち8カ所でPM2.5の濃度指標が10に達していたものの、主催者の高雄市はイベントの公式サイト上に環保署へのリンクを張っただけで、参加者には特に説明を行っていなかった。

 悪条件の中でスタートしたランナーのうち、友人とハーフマラソン部門に出場していた郭進財さん(52)は2時間ほどかけて約15キロメートル地点に差し掛かったところで突然、昏倒し、心肺停止状態に陥った。そばにいたランナーがすぐに心肺蘇生法(CPR)を施し、さらに駆け付けた救護員が電気ショックを与えることでようやく郭さんの心臓は再び動き出した。病院に搬送された後、意識も回復したが現在も集中治療室での看護が続けられている。

 なお、郭さんの妻によると、彼はハーフマラソンを10度以上経験しているベテランランナーだが、今回は2〜3日前から風邪をひいて体調を崩す中での強行出場だったそうだ。

 なお環境保護団体の台湾健康空気行動聯盟は、主催者の高雄市に対し昨年の時点で、秋から春にかけて大気汚染が深刻化し、マラソンなど屋外イベントには適さないと警告していた上、19日の時点で環保署が黄砂予報を出していたにもかかわらず、予定通り大会が強行されたことに遺憾の意を示した。

 また台湾大学医学院附設医院(台大医院)心臓内科の王宗道医師も「通常、マラソンには心肺機能を高める効果があるが、PM2.5濃度が高い中で行えば、汚染物質を吸い込み、走れば走るほど健康を害する」と注意を呼び掛けている。