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長栄集団後継者争い、四男は「一日天下」か


ニュース 運輸 作成日:2016年2月22日_記事番号:T00062089

長栄集団後継者争い、四男は「一日天下」か

 長栄集団(エバーグリーン・グループ)創業者で総裁だった張栄発氏の死去に伴い、四男で長栄航空(エバー航空)董事長の張国煒氏が今月18日、遺言に従い長栄集団総裁に就任したと一方的に宣言したことから、一族間での対立が起きている。


張国煒氏は22日午前、グループ本社に入るところを待ち構えていた記者たちに目撃された。総裁職は依然解かれていないもようだ(22日=中央社)

 張栄発氏には四男一女がおり、張国煒氏は唯一、張栄発氏と後妻の間に生まれた。張栄発氏は総額536億台湾元(約1,800億円)の資産を全て張国煒氏に相続させるという遺言を残し、張国煒氏の動きはそれに従ったものだった。

 これに対し、死別した前妻の子である長男の張国華氏をはじめとする前妻勢力は、張国煒氏に直ちに反撃。19日までにグループを統括する管理総部と総裁職の廃止を決定したもようだ。孤立した張国煒氏は総裁としての職務を果たせなくなり、事実上「一日天下」に終わる可能性が出てきた。

 19日の動きは慌ただしかった。張国煒氏は同日午前、「総裁」として台北市内の本社に出社したが、前妻勢力は持ち株での優位を背景に管理総部と総裁職の廃止を決定したとされる。同社から公式な説明はないが、前妻勢力は「長栄集団の総裁は永遠に張栄発氏1人だ」とする立場を確認したもようだ。工商時報は関係者の話として、管理総部と総裁職は22日から正式に廃止されると伝えた。

 張国煒氏は決定を受け入れない可能性もあるが、関係者は「管理総部は法人組織ではないため、(これまで張栄発氏を支えた)副総裁4人の決定があれば、総裁職と共に廃止は可能だ」と指摘した。グループ各社は経営がそれぞれ独立しており、管理総部と総裁職の廃止が直ちにグループ各社の正常な運営に影響を与えることはひとまずないとみられる。

張国煒氏、エバー航空でも失脚?

 父親の遺言を根拠に総裁就任を宣言した張国煒氏だったが、管理総部を通じて、グループの指揮権を握ろうとした思惑は外れた。

 長栄集団周辺では、海運部門の長栄海運(エバーグリーン・マリン)は張国華氏をはじめ前妻勢力が掌握しており、張国煒氏は今後、長栄航空(エバー航空)董事長のポストを守るのが精一杯ではないかとの見方も浮上している。

 張国煒氏は現時点で、長栄航空の大株主である張栄発慈善基金会から董事として派遣される形でエバー航空の董事長を務めており、前妻勢力が同基金会を代表する董事を交代させれば、張国煒氏はエバー航空董事長にもとどまれなくなる。

 エバー航空には長栄海運が16.31%、張栄発氏一族が全額出資する長栄国際が12.17%を出資しており、エバー航空の株式をわずか0.3%しか保有していない張国煒氏は圧倒的に劣勢だ。

 非上場の長栄国際では、前妻勢力の合計持ち株比率が54%あるとされる。残る株式は張栄発基金会(28.86%)や張栄発慈善基金会と張栄発氏(各5%)、張栄発氏の後妻、李美玉氏(7.14%)が保有している。

 張栄発氏は遺言で保有株式を張国煒氏に単独で相続させるとしたが、張国煒氏が張栄発基金会の主導権を獲得したとしても、長栄国際では議決権の過半数を掌握できない。エバー航空は来年6月に役員改選を行うが、一族対立の場が同社に移る可能性をはらんでいる。