ニュース 商業・サービス 作成日:2016年2月25日_記事番号:T00062182
蔡英文政策弁公室(事務所)の張景森執行長は24日、5月20日の蔡総統就任後すぐに旅行業を全面開放し、「中国人観光客を歓迎する」との方針を表明した。中国政府が3月20日から毎日3分の1~2の中国人ツアー客を削減するとの見方が多く、台湾観光業界への打撃が予想されている。民進党への政権交代が確定し、中国政府が観光客削減で圧力をかけるとの観測が絶えず、中国依存リスクが表面化している。25日付経済日報などが報じた。
民進党は24日、旅行会社、航空会社、観光バス会社、宿泊施設など観光業界関係者や交通部観光局を招いて、中国人ツアー客削減問題の対策会議を開催した。
会議では、交通部観光局は1月の中国人ツアー客は前年同月比0.6%減だったが、中国人旅行者は13%増だったと説明した。一方ある航空会社は、中国の数十の就航地を調査したところ、今後100日間の中国人ツアー客は3分の1減り、個人旅行者は変わらず、全体の人数は6分の1減少するとのデータを示した。
張執行長は、会議の結論として▽中国人ツアー客減少の兆しはあるが、中国に政治的意図があるかは判断がつかない▽民進党政権は、両岸(中台)観光の発展を望んでおり、中国人観光客を歓迎する▽もし中国に政治的意図があれば、中長期的な対策を考える必要がある──とまとめた。
2008年の国民党・馬英九政権発足で中台経済交流が推進され、中国人観光客は大幅に増加した。交通部観光局の統計によると、昨年の中国(香港・マカオ除く)からの訪台旅行者は延べ418万4,102人で前年比4.94%増と、2位の日本(延べ162万7,229人、前年比0.46%減)を大きく上回る。
地方・格安ホテルに打撃
宿泊施設の業界団体、台北市旅館商業同業公会の邱楽芬理事長は、調査によると台北市の宿泊施設では、3月の中国人ツアー客の宿泊は1割減にとどまるが、台湾全土の中国人旅行者は全体で20~25%減少すると指摘した。
高級ホテル関係者は、高級ホテルは中国人の割合が1割以下で影響は限定的だが、ツアー客を対象とした格安ホテルの打撃は大きく、さらなる値下げ競争に追い込まれる恐れがあると語った。
航空大手、中華航空(チャイナエアライン)と長栄航空(エバー航空)は、中台路線の売上高構成比は10~15%で打撃は大きくない。ただ中華航空は、中国の地方都市との路線で小型の機体に変更する可能性がある。中台路線が売上高の3割以上を占める復興航空(トランスアジア航空)の主管は、ツアー客の予約は出発7日前まで確定しないので、影響度合いはまだ不明と話した。遠東航空(ファーイースタン航空)は、中台路線が売上高の半分近くで、既に3月の馬公~青島線などチャーター便4便を取り消した。
台湾の観光バス1万6,000台のうち中国人ツアー客専門は4,000台余り。観光バス業界団体、遊覧車客運商業同業公会の魯孝亜理事長は、需要期のはずの3~5月も受注がほぼなく、中国人ツアー客が前年同期比3~4割減れば、毎週600台以上のスケジュールが空くと語った。
観光局、東南アジア強化
観光局の張錫聡副局長は、観光局は14年からムスリム(イスラム教徒)市場を開拓し、昨年はアジア5カ国(フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシア、インド)の観光ビザ手続きを簡素化したほか、観光業界に対し、台湾域内旅行市場を強化して中国依存度を引き下げるよう呼び掛けていると説明した。
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