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鴻海のシャープ買収、中小型パネルで相乗効果


ニュース 電子 作成日:2016年3月1日_記事番号:T00062233

鴻海のシャープ買収、中小型パネルで相乗効果

 鴻海によるシャープ買収に向けた最終協議が進められる中、市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーは、同買収案が成立すれば、中小型液晶パネル事業において相乗効果を発揮し、同分野の世界最大手、ジャパンディスプレイ(JDI)が最大の打撃を受けるとの見方を示した。1日付工商時報が報じた。


鴻海の契約延期発表後、シャープの高橋興三社長(前)は中国に向かい、財務リスクをめぐる誤解を鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長に直接謝罪したと伝えられた(中央社)

 ウィッツビューは、鴻海がシャープの技術と生産能力を獲得すれば、組み立て業務を抱えるメリットを生かして垂直統合を進め、新たなビジネスモデルを構築すると指摘。特にシャープが世界3位の生産能力を持つLTPS(低温ポリシリコン)パネル、および業界で最も早く量産に成功したIGZO(酸化物半導体、イグゾー)技術に関連する中小型パネルでその効果を発揮し、JDIなどパネル専業メーカーは競争力を弱め、他社との提携を余儀なくされると予測している。

 なお大型パネルについては、長期にわたり市場が供給過剰状態にあるほか、シャープのテレビブランドは市場における影響力を弱めている上、これまで鴻海は顧客との競合を避けるため、ブランド事業に消極的な姿勢を示しており、中小型パネルほど大きなメリットはないとの見方だ。

鴻海「早期の合意目指す」

 なお鴻海とシャープの最終契約締結については、24日にシャープが提出した重要文書により3,000億円規模の偶発債務の存在が明らかになったことから鴻海が保留し、交渉期限を2月29日から延長し、3月7日に契約を目指すこととなったと報じられた。しかしこれについて鴻海は28日、「契約締結の期限は設定していない」とコメントし、報道内容を否定。その上で「できるだけ早く、合意を達成したい」と表明した。

 ただブルームバーグは29日、関係者の話を基に、シャープの偶発債務を精査した後、鴻海が買収条件を変更し、シャープは取締役会で再度、決議を行う必要に迫られる可能性があると報じた。