ニュース 商業・サービス 作成日:2016年3月1日_記事番号:T00062238
中国政府が3月20日から中国人ツアー客を徐々に削減するとの観測を受け、台湾全土で現在50~60棟の観光ホテルが売りに出されており、物件総額は100億台湾元(約340億円)を超える。ツアー御用達の土産物店で働く台湾人従業員は半数が無給休暇を強いられている。中国政府は今後3カ月ごとに中国人ツアー客の上限を半減させ、蔡英文政権に経済的手段で圧力を強める構えとされる。1日付工商時報などが報じた。
阿里山の1、2月の中国人観光客は延べ28万人で前年同月と変わらなかった(中央社)
旅行業界関係者によると、中国政府は中国人観光客の削減令としてまず3月20日から6月末まで訪台ツアー客の上限を16万6,000人余りに引き下げる。そして7月15日から3カ月間は8万3,000人、10月15日から3カ月間は4万1,500人と半減措置を続ける。自由旅行は4都市の住民にしか認めない。
交通部観光局の張錫聡副局長は、台湾企業が中国企業から携帯電話のショートメールでこうした「参考割当枠」情報を受け取ったが、中国政府に照会したところ事実との確認は取れていないと説明した。今後の観察が必要だが、中国人客が宿泊する中小型ホテルは売り上げが既に10~15%減り、中南部のホテルでは25~30%減っていると推測した。
観光局は1日より対策として、中国人ツアー客の1日当たり受け入れ枠5,000人のうち、昼食・夕食が1日500台湾元(約1,700円)以上で宿泊の3分の1は星付きホテルを利用する「優良ツアー」の割合を3分の2へと、従来の2分の1から引き上げる。このほか、東南アジアからの観光ビザ発給手続き日数を7日に半減するよう外交部と協議し、今年の東南アジアからの訪台旅行者数13万人増加を目指すことで、中国人客減少による打撃緩和を図る。
ホテル投資、売り抜け狙う
調査によると、商用不動産市場では、売却物件の8割を観光ホテルが占め、残り2割がオフィスビルという異例の事態になっている。不動産仲介会社、欣元商仲の焦文華総経理は、相場が高いうちに売り抜けたいとの思惑から、昨年3月よりホテル売却意欲が高まっていると指摘した。同社の統計によると、台湾全土の現在のホテル数は少なくとも3,070軒。売却先を求めているホテルは50~60軒で、うち6割は建設会社などホテルが本業ではないと説明した。
主な売却案件は、台北市松山区の首都大飯店(キャピタルホテル台北)が半棟を18億元で売り出しているほか、故宮南院近くの嘉義県朴子市で建設中のホテルが13億元。康橋商旅(カインドネスホテル)は高雄など南部4軒の売却先を模索しているが、価格は非公開だ。
米不動産サービス大手、シービーアールイー(CBRE)の林翊群・資本市場部董事は、昨年1~11月の大台北地区(台北市、新北市、基隆市)ホテルの客室稼働率は約5年ぶりに低下したが、平均客室単価は上昇、客室数は増え続けており、競争激化でホテル業界地図が書き換えられると予測した。
観光業、10万人に打撃
中国や香港資本によるツアーに組み込まれた土産物店は中国人客が1日当たり3,000人以上訪れ、台湾人従業員100人以上が働いていたが、現在は半数が無給休暇を取らされており、特に花蓮の大理石、さんご、宝飾店で多い。業界関係者は、旅行会社、レストラン、野菜や果物販売店、農家などを合わせれば、就業人口10万人以上が打撃を受けると見積もっている。
嘉義皇品国際酒店(ホテル皇品国際ホテル)の張永川総経理は、同社は昨年、蔡氏の総統選当選が確実となり、中国が圧力をかけると予想して、客室単価が1,200~1,300元まで押し下げられた中国人ツアー客から、台湾人ツアー客(平均客室単価1,800~1,900元)中心に切り替えたと話した。中国政府が発表していないのに、中国の旅行業界から訪台中国人観光客の「参考割当枠」情報が流れてくるのは、蔡次期総統に「一つの中国」を認めさせることが目的だと推測した。
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