ニュース 公益 作成日:2016年3月2日_記事番号:T00062268
台湾電力(TPC)が2018〜19年にかけて運転を停止する予定の第1原子力発電所(新北市石門区)で、廃炉後も使用済み核燃料を敷地内に最長40年間保管する計画が判明し、物議を醸す中、TPCは1日、無人島や人口の少ない島に放射性廃棄物の貯蔵施設を建設する構想の実行可能性について9月に報告を行うと明らかにした。同施設が早期に完成すれば、放射性廃棄物の第1原発敷地内への一時保管が不要になるとの算段だが、管内に無人島を抱える金門、台東、宜蘭の3県は一斉に反対を表明。専門家も同計画の実行は困難との見方を示した。
鄧振中経済部長は、放射性廃棄物の問題で、第1原発が予定より早く稼働を停止する可能性があると語った(中央社)
2日付蘋果日報によると、第1原発は1号機が18年12月5日、2号機は19年7月に稼働を終了する予定。TPCは25年間をかけ、除染、解体作業を進め、廃炉に伴って出る使用済み核燃料棒7,400本と、防護服、手袋、機械部品などの低レベル放射性廃棄物6万桶(1桶=約208リットル)余りを、敷地内に建設する第2期乾式貯蔵施設に保管する計画が明らかとなった。
これを受け、朱立倫新北市長は「新北市を放射性廃棄物の処分場にさせない」と反対意向を表明。民進党の黄国書立法委員も、TPCは第1原発の周辺住民と対話せず、一方的に決めたと批判した。
TPCは、第1原発敷地内での保管は一時的な措置にすぎず、最終処分場が決まり次第、使用済み燃料を同地に移転すると説明。林徳福TPC広報担当は、無人島や人口の少ない島への集中貯蔵施設建設を考えており、早期に完成すれば、早い段階で第1原発から放射性廃棄物を同施設に移転できるほか、第1原発への一時保管すら不要になる可能性もあると表明した。詳細は計画中だという。
行政院原子能(原子力)委員会(原能会)によると、TPCが無人島に放射性廃棄物の集中貯蔵施設を建設するには、経済部による投資実行可能性評価、環境保護署(環保署)による環境影響評価、原能会による安全性分析の審査を通過する必要がある。現行法規では住民投票を義務付けていないが、土壌・水質保全に関わる審査は無人島が所属する地元政府が行う。
金門県民「徹底反対」
内政部の統計によると、▽基隆市▽宜蘭県▽台東県▽金門県▽澎湖県▽連江県(馬祖)──に所属する70島余りの無人島・有人島に、統計外の無人島を加えると、台湾には約100の無人島・有人島があるとみられる。ただ、これらの多くは面積が1万平方メートル以下で、貯蔵施設を建設したとしても、第1原発から出る放射性廃棄物を収容し切れないという見方もある。これについて林TPC広報担当は、計画の詳細は明かせないと述べるにとどめた。
なお、貯蔵施設の建設地としてはこれまで、金門県や連江県などの無人島になるとの観測が浮上していた。金門県のある住民は「金門県はごみ捨て場ではない。無人島に建設するとなっても県民は放射能が心配だ。徹底的に反対する」と述べた。
専門家「建設に不向き」
原子力工学の専門家は「仮に理想的な無人島が見つかったとしても、空港も港もない島で貯蔵施設に何か問題が起きたときにどう対応するのか」と疑問を投げ掛けた。また、地球温暖化の影響で無人島は十数年で水没する可能性があり、放射能が漏れ出せば一大事だと警告した。TPCは台湾の小島は全て火山岩礁であり、大型の集中貯蔵施設の建設に適さないと知っていながら市民をだまそうとしていると批判した。
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