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「台独キラー」黄安が治療で帰台、健保利用に憤慨の声


ニュース 社会 作成日:2016年3月11日_記事番号:T00062430

「台独キラー」黄安が治療で帰台、健保利用に憤慨の声

 台湾の芸能人を次々と名指しし、「台湾独立に関わる活動や言論を行った」などと批判して中国のネットユーザーから「台独キラー」の称号で呼ばれる台湾出身の歌手、黄安(53)が10日未明、心筋梗塞の治療を受けるため、活動の拠点とする中国から帰台した。高額の治療費がかかるときは台湾の健康保険をちゃっかり利用しようという虫のよさに、多くのネットユーザーから憤慨の声が上がっている。


黄安は10日午前2時すぎに振興医院(台北市北投区)に到着し、同日、手術が無事終了した(10日=中央社)

 黄安は今月6日、滞在先の北京で心筋梗塞で倒れ、台湾で治療するため10日午前1時過ぎにチャーター機で松山空港に到着。そのまま台北市北投区の振興医院に入院し、同日午後5時ごろから4〜5時間にわたる冠動脈バイパス手術を受けた。心筋梗塞の治療のための手術、入院は台湾の健康保険の対象となり、医師によると黄安の場合、40万〜55万台湾元が保険から支払われるという。

 こうした中、黄安の妻がメディアに対し「台湾では病気になれば外国人でも医師に助けてもらえる。しかも私たちは台湾人です」と涙ながらに訴えた。しかし一部市民からは「金もうけの時は中国人と言い、健保のためには台湾人になる。われわれを馬鹿にしているのか」などとさらに批判がヒートアップした。

 政界からも国民党、民進党を問わず非難の声が上がっており、特に1月の総統選挙直前に黄安が、韓国のテレビ番組で中華民国の国旗を振った台湾人女性アイドル、周子瑜(チョウ・ツウィ、16)を「台湾独立分子」と批判し、彼女を謝罪に追い込んだことが国民党の敗北につながったとの見方もあることから、同党の陳学聖立法委員は「彼は中華民国の敵で心は対岸(中国)にある。それなら戻ってきて台湾の資産を享受すべきではない」と切り捨てた。

 ただ楊志良・元行政院衛生署(現衛生福利部)長が「保険料を支払っているのであれば、健保を利用して問題はない。政治的立場にかかわらず利用できるところが健保の素晴らしさなのだから」と冷静に述べているように、黄安の健保利用に制度的な落ち度はない。しかし、それだからこそ台湾市民の間にやるせなさが広がっているようだ。