ニュース 社会 作成日:2016年3月30日_記事番号:T00063269
28日に台北市内湖区の路上で女児(4)が男に殺害された事件に続き、29日にも台北市と新北市で精神疾患者による通り魔事件が発生し、2人が負傷した。衛生福利部(衛福部)は29日、精神障害者に対する強制医療介入(本人の承諾を得ずに治療を行うこと)ができる条件を緩和するほか、薬物・アルコール依存症者、自殺のリスクが高い人も対象に加える方針を示した。2週間以内に有識者会議を開き、6カ月以内に方向を打ち出す予定だ。無差別事件の再発を防ぐ狙いだが、医師からは、人権侵害問題を回避するため事件を起こさない限り適用は困難との見方が出ている。30日付蘋果日報などが報じた。
内湖区の女児殺害現場近くでは、多くの市民が花や玩具などを捧げて冥福を祈った(29日=中央社)
内湖女児殺害事件で身柄を拘束された王景玉容疑者(33)は2年前に同居の両親に暴力を振るったため、精神科受診を迫られ2日間入院したが、医師が「深刻な精神疾患を患っていない」と診断したため、規定により入院を強制できなかった。事件後、専門家からは「病院や政府機関が覚せい剤使用で逮捕歴もあった王容疑者の追跡調査を怠った」と批判の声が出た。
衛福部心理・口腔健康司の諶立中司長によると、2008年の精神衛生法施行前は、警察などが精神障害者と認定すれば強制医療介入ができ、医師2人の鑑定後、必要であれば強制入院もできた。しかし同法施行後は、人権擁護のため強制医療介入の対象が「重症患者」に限定された上、条件に「自身や他者に傷害を加えた、または傷害を加える恐れがある」「委員会審査を通過」が加わったため、強制医療介入のケースは施工前の年間平均3,000件余りから600~700件に減少した。
諶司長は、今後、警察などが条件に合致すると判断すれば強制医療介入ができるよう精神衛生法を改正することで、犯罪を未然に防止するほか、精神障害者の保護も図ると強調した。
このほか、薬物・アルコールの長期使用者には幻聴、幻覚、被害妄想といった深刻な精神症状が現れやすく、自殺のリスクが高い人は他者に危害を加える可能性があるとして、法改正では薬物・アルコール依存症者、自殺のリスクが高い人も強制医療介入の対象に加える。諶司長は、警察官などへの教育を強化し、路上で精神疾患の疑いのある人を見つけたら声を掛けるよう求めるとした。
精神障害・うつ病患者が犯行
29日正午ごろ、台北都市交通システム(MRT)新北投駅で列車に乗り込んだ警察官(48)が背後から男に刃物で刺され、頭部、手、背中など15カ所に傷を負った。警察官の命に別条はないという。警察の調べによると、殺人未遂などの容疑で逮捕された無職の男(28)は軽度の精神障害者手帳所持者で、数年前に入院治療をしたが、ここ半年間は定期的に通院していなかった。
新北投駅で犯行に及んだ容疑者(右2)は、警察官に取り押さえられた際に「とにかく警察官を殺したかった」などと叫んだ(29日=中央社)
また、同日午後1時ごろ、新北市樹林区の路上でデング熱感染対策の消毒作業を行っていた男性(48)が、男に突然刃物で切りつけられ、左手に約5センチメートルの傷を負った。男は逃走を試みたが、近くにいた別の作業員に消毒液をかけられ、取り押さえられた。男は殺人未遂などの容疑で逮捕された。
地元の里長によると、容疑者の男(23)は4年前の兵役中にうつ病を患い、退役させられ、その後は父親と内装の仕事をしていた。以前に刃物を持って付近を徘徊(はいかい)しているところを目撃されたが、他者に危害を加えていなかったため、警察に通報しなかったという。
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