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25年の脱原発、「電力確保が条件」=林行政院長


ニュース 公益 作成日:2016年6月14日_記事番号:T00064677

25年の脱原発、「電力確保が条件」=林行政院長

 林全行政院長は13日、就任後初めて経済日報のインタビューに応じ、2025年の脱原発は電力が不足しないことが条件で、行政院には安定供給の責任があると述べた。さらに、大型の火力発電所の相次ぐ閉鎖で来年は電力供給がさらに厳しくなると訴え、今後2~3年が山場になるとの認識を示した。蔡英文総統は先日、脱原発路線に変更はないと宣言したが、実現にはかなりの困難を伴いそうだ。14日付聯合報などが報じた。

/date/2016/06/14/00top_2.jpg林行政院長(中)は、社会の監督を受けられるようTPCの電力供給状況の透明化を経済部に指示した(中央社)​

 林行政院長が先日、台湾電力(台電、TPC)の第1原子力発電所の条件付き再稼働を示唆し、社会の批判を浴びたことを受け、蔡総統は8日に、電力不足か原発の二者択一を迫ることはなく、「脱原発の目標に変更はない」と強調していた。続いて、行政院原子能委員会(原能会)の謝暁星主任委員は13日、稼働を停止している第1原発1号機について立法院に提案するつもりはなく、再稼働する可能性はゼロだと述べた。

 林行政院長はインタビューで、今後、供給予備率7%を維持できれば、電力供給に問題はなく、当初はピーク時のみ第1、第2原発を使用することを考えていたが、第1原発の再稼働に対する社会の反発が想像以上に大きかったと語った。このため、再稼働を検討する条件は、安全に懸念がなく、社会の合意が得られ、あらゆる手を打った後となるが、社会の合意が得られなければ退役の前倒しに等しく、大きな試練だと述べた。

 林行政院長は、蔡氏が12年に総統選挙公約に25年の脱原発を組み入れた際にも、掛け声だけでなく、電源構成を見直し、電力不足とならない具体案を提示して社会を説得しなければならないと進言したという。第4原発の凍結で供給電力が大幅に不足するため、当面は使用量に応じた料金引き下げなどで、産業用大口使用者などのピーク時の電力需要を抑制しており、長期的にはスマートメーターやスマートグリッドの導入、代替電源の確保が必要と話した。

TSMC・グーグルも懸念

 林行政院長は、猛暑で今夏の電力不足を懸念する声が上がっているが、実際は来年の方が厳しい状況だと語った。

 TPCの計画によると、大林火力発電所(高雄市)の第3、第4号機、通霄火力発電所(苗栗県)の第1~3号機が年内に停止し、合計出力151万4,000キロワット(kW)が失われる。来年夏季には協和火力発電所(基隆市)の第1、2号機も停止し、出力100万kWが減少する。

 林行政院長は、台湾に投資する企業は電力不足を懸念しており、ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)やグーグルから自家発電所設立の打診があったと明かした。ただ、電力不足時だけ稼働するわけにもいかず、企業が余剰電力を売却するなら電業法の改正が必要になると説明した。

百貨店の午後休業案、猛批判浴びる

 電力不足問題を受け、張景森・行政院政務委員は、百貨店や量販店が来店客が少ない午後営業をやめてはどうかと提言した。これに対しては、与野党の立法委員から、企業活動に介入し過ぎと一斉に批判を浴びた。和沛科技創業者の翟本喬氏は、午前10時にクーラーを付けて、午後1時に消して3時にまた付けて、どれほど節電になるのか、営業していない時間の従業員の給与はどうするのかと問題点を指摘した。