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5月輸出受注、前年割れ14カ月連続に


ニュース その他分野 作成日:2016年6月21日_記事番号:T00064805

5月輸出受注、前年割れ14カ月連続に

  経済部統計処が20日発表した5月の輸出受注総額は337億3,000万米ドルで前月比1.7%増、前年同月比5.8%減だった。世界金融危機当時(12カ月)を上回る前年割れが14カ月に伸びた。ただ、林麗貞統計処長は、ICT(情報通信技術)、電子製品、ベースメタル(基本金属)の減少幅が大幅に縮小しており、8月に輸出受注は成長を取り戻すとの見通しを示した。一方、国家発展委員会(国発会)の陳添枝主任委員は、世界の貿易構造の変化に伴い、台湾は輸出先を失っており、景気が回復したからといって輸出受注は回復しないと悲観的な見方を示した。21日付経済日報などが報じた。

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 製品別の5月の輸出受注は、ICTが93億6,000万米ドル(前月比3.6%増、前年同月比3.5%減)、電子製品が89億米ドル(前月比1.9%増、前年同月比3.1%減)、ベースメタルが19億4,000万米ドル(前月比2.6%増、前年同月比4.1%減)だった。経済部は、新興市場で第4世代移動通信システム(4G)対応のスマートフォンの需要が増えており、IC設計、ファウンドリー、パッケージング・テスティング(封止・検査)など半導体サプライチェーンの受注が増えたと指摘した。林統計処長はまた、欧州でノートパソコン需要も回復が見られたと述べた。

 液晶パネルを含む精密機器は18億1,000万米ドル(前月比3.5%増、前年同月比19.3%減)だった。経済部は、液晶パネルの需要が回復し、価格が上昇に転じたため、前月より増加したと指摘した。

 機械は17億米ドル(前月比2.2%減、前年同月比2.8%減)だった。14カ月連続の前年割れだが、昨年12月の2桁減少からは大幅に改善した。自動化設備の需要回復に伴い、工作機械や部品メーカーの受注が好転した。林統計長はまた、機械業界のライバルは日本メーカーだが、円高の進行が台湾メーカーにとって追い風となったと指摘した。

 プラスチック・ゴム製品は16億3,000万米ドル(前月比2.8%増、前年同月比5.8%減)、化学品は15億6,000万米ドル(前月比4.2%減、前年同月比8.3%減)だった。

中国、前年割れ16カ月連続

 輸出先別の5月の輸出受注は、中国(香港含む)が84億1,000万米ドルで前月比2.9%増、前年同月比6.4%減と、過去最長となる16カ月連続の前年割れだった。林統計処長は、液晶パネル需要の回復で、中国からの受注も徐々に好転すると予測した。原油価格が昨年の水準まで戻れば、中国からの化学品の輸出受注の減少幅も縮小すると予測した。

 その他の国・地域は、▽米国、93億9,000万米ドル(前月比0.1%増、前年同月比4%減)▽欧州、57億5,000万米ドル(前月比1.2%減、前年同月比4.9%減)▽東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国、44億米ドル(前月比0.5%増、前年同月比0.6%増)▽日本、17億9,000万米ドル(前月比4.8%減、前年同月比26.7%減)──だった。

 東南アジアやインドとの関係強化を目指す蔡英文政権の「新南向政策」推進で、ASEAN受注が増えるかについて林統計処長は、そんなに早く成果は出ないと語った。

国発会、投資貿易会社を計画

 林麗貞統計長は、IoT(モノのインターネット)、ビックデータなどの応用先の拡大に伴い、電子製品のサプライチェーンの受注が増えると予測した。液晶パネル価格の下げ止まり、国際鉄鋼価格の上昇、原油価格の上昇、機械需要の回復なども輸出受注の好材料だと語った。

 一方、陳国発会主任委員は、台湾の貿易は中間財に偏っているので、中国などが自国内でサプライチェーンを構築し、現地調達を進める中、台湾は輸出先が減少しており、新規市場を開拓しなければならないと指摘した。これまで通り原材料や部品だけを輸出するのではなく、垂直統合を進めなければ輸出受注は回復しないとの認識の下、国発会は「国家クラスの投資貿易公司」を計画している。

【図】